空音開発Kuon R&D
録音機材 · 2026.08.15

ZOOM H1 XLR レビュー 32ビットフロートの実用最強を実機で確かめる

ZOOMのレコーダーをほぼすべて使ってきた立場から、H1 XLRを忖度なしでレビューします。F3との違い、一括ファンタムオフなど現場で効く3つの設計、ヘッドホンアンプの実力。実際の録音音源つきです。

この記事は広告を含みます
目次

2024年に発売された ZOOM H1 XLR。

ZOOMのレコーダーはほぼすべて使ってきました。
その立場から、このレコーダーがなぜ強いのかを、忖度なしで書きます。

まずは音を聴いてください

言葉より先に、実際の音です。

最初は大口径の指向性マイクでのモノラル収録。
ポッドキャストやナレーションで使われる、いちばん一般的な形です。

指向性大口径マイク モノラル (H1 XLR 直結)
320kbps に圧縮しています。傾向をつかむ用途には十分です。

次に、自作マイク P-86S を挿した無指向性AB方式です。
空気の広がりの違いを聴いてください。

P-86S 無指向性AB方式 (H1 XLR 直結)

F3 との区別

同じ32ビットフロートの F3 と、どう違うのか。
まず音質の前に、ハードの面から見ていきます。

大きく改善されているのが、microSD と単三電池の出し入れです。

F3 の電池室は「びっしり詰まっている」という表現がぴったりの窮屈な仕様で、電池を抜くためのリボンテープが入っていたほどでした。
あのサイズにあの性能を詰め込んだ結果なので、不満はありませんでしたが。

H1 XLR はここが大幅に良くなっています。
電池交換が素直にでき、microSD も挿入の手応えがはっきりあります。

とはいえ、128GB を入れていれば、交換は一日に一度あるかどうかですが。

痒いところに手が届いた3つのポイント

使っていて「よく分かっている」と感じた点を挙げます。

1. 電源のオンとオフ

電源オンは、スライドさせるだけ。
すぐ起動します。

F3 は長押しで起動でしたから、この速さは現場でこそ効きます。

では電源オフも同じ操作かというと、オフのほうはスライドの長押しです。
オンと同じ感覚でオフになられたら困りますから、これが正解です。
ホールドボタンも別にあります。

こういう細部に、現場を理解している設計が出ます。

2. 物理ボタンがしっかりある

マイクとラインの切り替えもボタンでできます。

ミックスやマーカーの位置も含めて、必要なものが必要な場所にあります。

3. すべてのファンタムを一括でオフ

これが最高です。

マイクを交換するとき、ファンタム電源は切りますよね。
F3 では左右それぞれを画面上でオフにしてから交換していました。

H1 XLR には一括オフがあります。
安心して交換できますし、速さがまるで違います。

あったらよかった機能

ひとつだけ欲を言えば、M4 に載っていた本体内ノーマライズです。

ただ、96kHz のファイルを大量に処理するなら、本体でやるよりパソコンで一括処理したほうが速い。
無い理由も分かります。

代わりというわけではありませんが、このサイズで簡易スピーカーが付いています。
フラッグシップの F シリーズにも無いものです。
音声メモの確認には素直に便利です。

シンプル、それが最高

Bluetooth もタイムコード同期も載っていません。
サンプリングレートも 96kHz まで。
192kHz が要るなら F3 です。

しかし、日常の録音で 96kHz を超える必要は、ほとんどありません。

32ビットフロートですから、レベルをあれこれ考えずに、マイクを挿してそのまま回す。
それで録れています。

音質のレビュー

ここも忖度なしで書きます。

まずヘッドホンアンプ。
私は F4 の使用歴がいちばん長く、F4 のヘッドホンアンプに苦い記憶があるので、ZOOM 製品を買うと最初にここを確かめます。

H1 XLR のヘッドホンアンプは、90点です。
音楽鑑賞にも耐えます。

マイクアンプ、ヘッドホンアンプ、ADC。
この価格帯として、文句の付け所がありません。

参考までに、無指向性マイクのモノラルも置いておきます。

無指向性マイク モノラル (H1 XLR 直結)

これからの ZOOM に期待していること

いまのラインナップでも住み分けは完成されています。
それでも新製品のたびに最高を更新してくるのが ZOOM です。

私が楽しみにしているのは MEMS マイクの進化です。

MEMS は Micro Electro Mechanical Systems の略で、いまの小型マイクよりさらに小さいマイクを作れる技術です。
つまり、H1 XLR の大きさのまま、内蔵マイクまで載せられる可能性があるということです。

デジタル入出力が載れば、もう言うことはありません。

どこで買うか

ZOOM H1 XLR ハンディレコーダー (32ビットフロート)

実売はどの店もおおむね僅差です。在庫と納期で選んで問題ありません。

価格と在庫は各店でご確認ください

H1 XLR に挿すマイク

XLR 入力が2つありますから、マイクしだいで録れる世界が変わります。

私は市販のマイクをひと通り試したうえで、自分が使いたいマイクを自分で作りました。
H1 XLR にはファンタム電源で使う X-86S がそのまま挿せます。

レコーダー本体の比較は、用途別に別の記事へまとめています。

プラグインパワー対応レコーダーの選び方

F3 と H1 XLR はどちらを選べばよいですか

192kHz が要る、タイムコード同期が要る、という明確な理由があるなら F3 です。それ以外の録音は H1 XLR で足ります。電池と microSD の扱いやすさ、一括ファンタムオフ、起動の速さと、日常の使い勝手は H1 XLR のほうが上です。

32ビットフロートとは何ですか

録音レベルの失敗が実質なくなる記録方式です。急に大きな音が来ても割れず、後から適正な音量に直せます。発表会や現場録音のように、やり直しの利かない場面でこそ効きます。

内蔵マイクはありますか

ありません。H1 XLR は XLR 入力2つに外部マイクを挿して使うレコーダーです。内蔵マイクで完結させたい場合は H1essential や DR-05XP が候補になります。

関連記事

ジャーナルへ戻る