世界一流の録音エンジニアと、 同じ状態で録る。誰でも、どこでも。
KUON FIELD は、マイクが今この位置で捉えている音を理想やマスター録音とリアルタイムに比較し、一致率を数値で示します。同時に、部屋の音場を物理で予測し、立体で可視化します。長年の耳と経験に閉ざされていた「録音の音響」を、測れて、見えて、再現できるものに変える——世界初の試みです。
KUON STAGE 母艦の「一致率(実測)」モード。インストール不要・音源アップロードなし・端末内で完結。買い切り ¥9,800、または Concerto(月 ¥1,980)に同梱。

これは取扱説明書であり、技術仕様書でもあります。前半は「世界一わかりやすい使い方」、後半は「研究者のための技術仕様(数式と物理標準つき)」。必要なところから読めます。
意図 — 録音の音響を、民主化する。
優れた録音は、これまで一握りのエンジニアの耳と、数十年の経験の中にしかありませんでした。「なぜこの位置が良いのか」は言語化されず、再現も検証もできない職人技でした。
KUON FIELD は、その良し悪しを「リファレンスにどれだけ近いか」という一致率に変え、リアルタイムに見せます。さらに、音が部屋にどう広がるかを物理で予測します。結果として、初めてマイクを握る人でも、世界一流のエンジニアと同じ判断材料を手にできます。
私たちは数字で人を採点しません。一致率は「正解との距離」であり、健全域は 70〜85%。これは Bach がどう書いたかを一つの選択として尊び、あなたの選択もまた成立する、という空音開発の姿勢と同じです。道具は測り、判断はあなたが下します。
何が可能になるか
独奏のスイートスポット探し
ピアノやチェロの前でマイクを動かすと、一致率が山を描きます。最も高い位置が、その楽器と部屋にとっての良い場所です。
マスター録音の再現
憧れの録音を読み込み、その音色と空間に自分のマイキングを近づける。音源は特徴量だけ取り出して破棄されます。
アンサンブル・室内楽の配置
直接音と残響のバランス、ステレオ像の広がりを数値で確かめながら、狙ったバランスに配置できます。
ライブ会場のトータル音響コーディネート(KUON PIANO 連携)
KUON PIANO で楽器そのものを最適に調律し、KUON FIELD で会場の音場を予測しながらマイクと音源の位置を決める。楽器・マイキング・音場を一つの系として整える、世界初の一気通貫です。
研究と教育
再現可能で定量的な音響の測定・予測を、専用機材なしにブラウザで。授業や論文の補助、仮説検証の素早いプロトタイピングに使えます。
完全マニュアル — 使い方のすべて
初めての一台でも、迷わず最後まで。各操作の意味も添えます。
0. どこにありますか
アプリを開き、上部のタブで「一致率(実測)」を選びます。これが KUON FIELD です。左側の「録音設計」は同じ母艦の設計シミュレーター(予測専用)です。
1. リファレンス(正解)を決める
比較する相手を選びます。四つの方法があります。(a) この位置を基準にする — マイクが今いる場所をそのまま目標に。位置の A/B 比較に最適。(b) 内蔵プロファイル — 暫定のバランス基準(ニュートラル/やや暖色/やや明色)。(c) AUDIO MIRROR の登録 — 既に登録した参照。(d) マスター録音で再現 — 目標の音源ファイルを読み込む。いずれも音量ではなく音色の「形」で比べます。
2. マイクを開始する
「マイクを開始」を押して許可します。測定の正確さのため、エコー除去・ノイズ抑制・自動ゲインはすべて切った生の状態で取り込みます。ステレオ(2 チャンネル)入力を推奨します。
3. 一致率と内訳を読む
二段の数字が出ます。瞬間%は打鍵ごとに動く速い針(短い窓)、積算%は演奏全体で落ち着く安定値です。その下の 4 軸——音色バランス・空間性・ステレオ幅・アタック——が、どこが外れているかを示し、「少し離す」「間隔を開ける」のように動かし方へ翻訳されます。
4. ヒートマップで「いつ・どの帯域が」を見る
縦が周波数、横が時間、色がリファレンスからのズレ(寒色=不足/クリーム=一致/暖色=過多)。下の線はスコアの履歴で、70〜85% の健全帯を陰影で示します。良かった位置の眺めは「画像で保存」で残せます。
5. 予測フィールド(2D / 3D)を使う
部屋を上から見た 2D 地図と立体の 3D で、音場を可視化します。レイヤーは二つ——「直接/残響(D/R)」は近接か roomy かを、「高域減衰」は空気で高域がどれだけ落ちるかを示します。音源とマイクはドラッグで動かせ、寸法・壁の吸音・温度・湿度をスライダーで変えると地図が即応します。マイク点の数値(D/R・距離・残響 RT60・臨界距離・8kHz 空気減衰)も読めます。
6. 手を叩いて部屋を実測する
「部屋を実測(手を1回叩く)」を押し、静かな環境でマイクの近くで一度はっきり手を叩きます。減衰から残響 RT60 を実測し、推測の壁材ではなく実際の響きで予測地図を校正します。「クリア」で壁材プリセットに戻せます。
7. 推奨ワークフロー
リファレンスを決める → マイク開始 → 部屋を一度叩いて校正 → 温湿度を入れる → 演奏しながら一致率と内訳を見てマイクを動かす → ヒートマップで山を確認 → 良かった眺めを画像で保存 → 3D で全体を俯瞰。
技術仕様 — 研究者のために
以下はすべて、確立した音響学・信号処理の標準に基づき、合成信号と公表値で数値検証しています。隠れた近似やブラックボックスはありません。
A. マイキング一致率の信号処理
入力ステレオから次の「録音の指紋」を連続抽出します(内部 48 kHz)。
・LTAS(長時間平均スペクトル)= 1/3 オクターブ帯域の dB レベル(音色バランス) ・IACC(両耳間相互相関)= 左右の相関・音像の広がり(0..1) ・Mid/Side エネルギー比(dB)= 中央寄り↔広がり ・アタック = クレストファクター 20·log10(peak/RMS)(近接で鋭く、距離で丸い)
二つの時間スケールで評価します。瞬間(約 0.34 秒の短い窓・単発アタックに近い)と、積算(窓ごとの特徴量の走行平均・演奏全体)。
levels_norm(b) = levels(b) − mean_b(levels)d_norm = min(1, |Δ| / scale)
score = 100 · exp(−2 · d_norm)
overall = 0.38·tone + 0.27·spatial + 0.17·width + 0.18·attack正規化された各スペクトルの帯域 dB 差の平均(MAD)や IACC・Mid/Side の差を正規化距離 d にし、スコア化します。総合は重み付き合成(音色 0.38 / 空間 0.27 / 幅 0.17 / アタック 0.18)。100% は目標ではなく、健全域は 70〜85%(商用録音はマスタリングを含み LTAS が構造的にずれるため)。
B. 音場予測の物理(予測の地図)
部屋全体の音場は、確立した室内音響の式で予測します。受音点ごとに以下を計算します。
RT60 = 0.161 · V / (S · α)r_c = 0.057 · √(V / RT60)D/R(d) = 20 · log10(r_c / d) [dB]大気吸収 α(f,T,RH):ISO 9613-1 に厳密準拠(酸素・窒素の緩和周波数を含む)。20℃/70%RH で 1 kHz ≈ 5 dB/km、8 kHz ≈ 78 dB/km と公表値に一致。高域は距離・温度・湿度で大きく減衰します。
α(f) = 8.686 · f² · [ classical(T,p)
+ relax_O2(f,T,h) + relax_N2(f,T,h) ] [dB/m]初期反射は鏡像音源法、拡散場の空間コヒーレンスは sinc(kd)、音速は温度依存 c = 331.3·√(T/273.15) を用います。
C. 部屋の実測(クラップ → RT60 → 校正)
手を叩いたインパルス的な信号から、Schroeder 後方積分でエネルギー減衰曲線(EDC)を作り、−5 dB から −25 dB の傾き(T20)を 3 倍して RT60 を得ます。合成減衰では既知の RT60 を 3 桁精度で回復しました。実測 RT60 から Sabine を逆算し、推測の壁材に代えて等価吸音率を予測地図に反映します。
EDC(t) = ∫_t^∞ h(τ)² dτ
RT60 = 3 · ( t(−25 dB) − t(−5 dB) )
α_eq = 0.161 · V / (S · RT60_measured)D. 設計と正直さの境界
すべて端末内で完結します。マイクの解析、リファレンスの抽出、録音、3D 描画——音源がサーバーに送られることはありません。読み込んだマスター録音も特徴量だけ取り出して破棄します。基盤はブラウザの標準能力(高精度な音声解析、WebAssembly による DSP、WebGL による立体描画)です。
正直に線を引きます。部屋全体の音場は「予測」です(1 本のマイクから部屋全体は測れません)。「実測」はマイクが今いる一点だけで、予測の地図の上に重ねて区別して表示します。温度・湿度はブラウザに専用センサーがないため手入力です。私たちは、予測を実測と偽りません。
KUON PIANO × KUON FIELD — 会場をひとつの系として整える
KUON PIANO は、楽器そのものを、その個体のインハーモニシティ(弦が完全な倍数からわずかにずれる性質)から導いたストレッチ曲線で調律します。音源を正しくする道具です。
KUON FIELD は、その整った楽器の音を会場でどう捉え、どう広がるかを、一致率と予測音場で決めます。音源 → 調律 → マイキング → 音場、という流れを一つの系として整えられます。
これにより、調律師・録音エンジニア・演奏家が、同じ画面を見ながら「この会場で、この席に、こう届ける」を共有できます。専用機材も、サーバーも、要りません。
すべて、あなたのブラウザの中で。
マイクの解析、リファレンスの抽出、録音、3D——すべて端末内で完結し、音源はサーバーに送られません。インストールも不要。あなたの音は、あなたの手元から出ません。
よくある質問
本当に「世界初」ですか?
リファレンス比較や音響シミュレーションは個別には存在します。私たちが知る限り、リアルタイムのマイキング一致率と、温湿度まで含む音場予測を、ブラウザだけで一体に提供する例は他にありません。誇張せず、確認できた範囲でそう述べています。
一致率の「正解」とは?
楽器の理想プロファイル、内蔵の暫定基準、または読み込んだマスター録音です。100% を目指すものではなく、健全域は 70〜85%。数字は良し悪しでなく、正解との距離です。
3D の音場は実測ですか?
部屋全体は物理による予測です。実測はマイクが今いる一点だけで、予測の上に区別して重ねます。詳しくは技術仕様 D を。
温度・湿度は自動取得できますか?
ブラウザに専用センサーがないため手入力です。一方、部屋の残響は手を叩いて実測でき、予測地図に反映されます。
インストールや費用は?
インストール不要・音源アップロードなし。買い切り(¥9,800・アップデート込み)か、Concerto プラン(月 ¥1,980)でお使いいただけます。海外のお客様は決済画面で現地通貨の価格が表示されます。
どんなマイクが要りますか?
ステレオ(2 チャンネル)入力を推奨します。空音開発の P-86S / X-86S のような無指向 AB ペアが理想ですが、PC・タブレット・スマートフォンの内蔵ステレオでも始められます。