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フルートの録音で、息の音ばかりが目立ったり、音が遠く濁ったりするのは、音の出どころが一つではないからです。
唄口からは息のノイズと高域が、管の先からは低域が出ます。
マイクの位置と向きを、両方の放射を含むように決めるのが基本です。
こんにちは、音楽家の朝比奈幸太郎です。
Kuonの代表をしています。
今日はフルートの録音方法についてみていきましょう。
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フルートの録音はなぜ難しいのか
フルートは音量が大きい楽器ではありません。
金管や打楽器と比べると音圧は低く、細部を録るにはマイクを近づけたくなります。
ところが、近づけば近づくほど気流の乱れによる息のノイズが目立ちます。
このノイズは雑音ではなく、フルートの音そのものの一部です。
音の出どころも一点ではありません。
唄口(エンブシュアホール)に吹きつけた気流が縁で乱れ、管の空気を共振させて音が生まれます。
放射は大きく二つに分かれます。
放射の向きも周波数で変わります。
波長は音速を周波数で割った値で、周波数が上がるほど短くなります。
1000Hzで約0.34m、10000Hzで約0.034mです。
波長が短い高域ほど管の軸に垂直な方向へ強く出やすく、低域は全方向へ広がります。
マイクの位置は、この偏りまで考えて決めます。
フルートのマイクはどこに置けばいいのか
まず、唄口だけを狙わないことです。
指向性マイクなどで狙ってしまうと、唄口の正面は息のノイズが強く、息の音が勝った録音になります。
逆に管の先だけを狙うと、高域の輝きが不足します。
基本は、唄口と管の先の両方から等しいくらいの距離になる位置、つまり楽器のやや前方で管の中央付近を見る位置です。
高さは、楽器を構える高さに合わせます。
フルートは横に構えるため、高域は管の軸の延長線上より、軸に垂直な方向へ出やすい傾向があります。
演奏者の口元と管の中央の間くらいの高さを基準にすると、息のノイズと管の放射を両方拾えます。
距離は、直接音と残響のバランスで決めます。
部屋の残響が豊かなら少し離し、響きが乏しいなら寄せます。
目安は臨界距離、つまり直接音と残響音のレベルが等しくなる距離です。
ここより近いと直接音が、遠いと残響が優勢になります。
フルートは細部と響きの両方が欲しい楽器なので、臨界距離の前後が候補になります。
あなたの録る部屋では、臨界距離はどのあたりでしょうか。
手を叩いて残響を聴けば、おおよその見当がつきます。
全方向から等しく拾う無指向性のマイク2本を使うなら、2本を離して置くAB方式になります。
間隔は30cmから300cm以上まで、音源の幅と部屋の響きで変えます。
間隔を広げると広がりと響きが増え、狭めると定位が安定します。
音源が一人なら間隔を狭めに、伴奏が入るなら広めにするのが目安です。
1組のマイクだけで全体を収める考え方はワンポイント録音とは?
1組のマイクだけで全体を収める方法と原理にまとめています。
なぜその位置が良いのか
理由は三つあります。
一つ目は直接音と残響の比率です。
自由音場では距離が2倍になると直接音が約6 dB下がります(逆二乗の法則)。
ただし部屋の中では反射があるため、この通りには下がりません。
残響が支配する距離を超えると、レベルはほとんど下がらなくなります。
細部を残しつつ響きと溶け合わせるには、直接音が残響に埋もれない範囲に置きます。
二つ目は干渉です。
床面の反射が直接音と重なると、特定の周波数が打ち消されて櫛の歯状に乱れるコムフィルタが生じます。
マイクが低い位置にあるほど、この反射の時間差が問題になります。
高さを調整して反射の影響を小さくします。
三つ目は放射特性です。
フルートは周波数によって音の出る場所と向きが違います。
唄口と管の先の両方を見る位置に置くことで、高域と低域のバランスが崩れにくくなります。
どちらか一方に寄せると、その成分だけが目立つ録音になります。
フルート録音の失敗はどう避けるか
一つ目は、唄口の正面へマイクを向けて息のノイズばかりを拾うことです。
唄口の正面を外して管の中央付近へ向けます。
二つ目は、管の先だけを狙って高域の輝きを失うことです。
唄口と管の先の中間を基準にします。
三つ目は、指向性のあるマイク、とくに正面に感度が高く真後ろの感度が低い単一指向性を近づけすぎて低域が濁ることです。
単一指向性には近接効果があり、近づけると低域が持ち上がります。
無指向性では近接効果が生じないため、寄せてもこの濁りは起きません。
四つ目は、床面反射によるコムフィルタです。
マイクの高さと距離を変えて、反射の経路をずらします。
五つ目は、無指向性2本の間隔を広げすぎて中央が薄くなることです。
間隔が広いと左右へ寄りすぎ、中央の定位が曖昧になります。
間隔を詰めるか、中央の成分が十分に拾える位置を探します。
フルートの録音に向くマイクは何か
無指向性のマイク2本を組にした録り方が向きます。
理由は三つあります。
一つ目は、近接効果が生じないことです。
フルートは音量が大きい楽器ではないので、細部を拾うためにマイクを寄せたくなります。
指向性マイクを寄せると近接効果で低域が持ち上がり、音が濁ります。
無指向性なら、寄せてもこの心配がありません。
二つ目は、低域まで素直に収まることです。
フルートの基礎音と低い倍音を、色づけなく自然に録れます。
三つ目は、空間の響きを含めて捉えられることです。
フルートの音は部屋の響きと一体になって聴こえます。
無指向性は全方向から等しく拾うため、その響きを自然に含められます。
指向性の選び方の全体像は、無指向性と単一指向性の使い分け 録音で何が変わるのかにまとめています。
フルートの録音では、無指向性のペアを基本に据えるのが実用的です。
その土台となるマイクを案内します。
また、収録後はKuonのアプリを使えば、自動でSNSに投稿できる音源に整音してくれます。
弾く側を伸ばす教室の選び方は大人の音楽教室はどこがいいにまとめています。

