空音開発Kuon R&D
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空音開発 P-86S

P-86S スタートアップガイド

空音開発のクラフトマイクをご購入いただきありがとうございます。 「ありのままの音」を記録するための、基本的な準備とセッティング方法を解説します。

必要機材リスト

P-86S と一緒に揃えておきたい基本アイテム

モニターヘッドホン

RECOMMENDSennheiser HD 25

当スタジオが強く推奨するモニターヘッドホン。録音現場で正確なモニターができ、日常の音楽鑑賞にも最高の音質。低価格・頑丈・超ロングセラー。

対応レコーダー

P-86Sは「プラグインパワー」で駆動します。ご予算と用途に合わせてお選びください。

ENTRY MODEL
ZOOM H1essential

32bit フロート録音対応。入門機ながら音割れの心配がほぼゼロ。最初の1台に最適。

TASCAM DR-05XP

バランス型プラグインパワー対応。TASCAMならではの堅실な音質と操作性。

HIGH-END MODEL
ZOOM H5studio

多機能・高音質の現行 Studio 世代。外部マイク入力の余裕があり、長時間のフィールド録音にも対応。

HIGH-ENDTASCAM Portacapture X6

32bit フロート + タッチスクリーン。プロの現場で活躍する最高峰のポータブルレコーダー。

迷ったら、この構成から

機材を1点ずつ選ぶ必要はありません。当スタジオが実際の録音を想定して組んだ2つの構成から選べば、届いた日から録音が始められます。

まず録れる構成

P-86S + ZOOM H1essential + microSD + eneloop
机や譜面台に置いて録る、最小の構成です。32bitフロートのH1essentialなら音割れの心配もほぼありません。

本格構成

P-86S + Portacapture X6 + K&M 20120B + Sennheiser HD 25
スタンドで位置を追い込み、その場でモニターまで行う構成です。発表会や演奏会の記録はここまでそろえると別次元になります。

カードや電池などの消耗品は、録音の小物チェックリスト にまとめてあります。

⚠️

【重要】ファンタム電源(+48V)は絶対に使用しないでください

P-86Sは音質を極限まで追求するために繊細な回路設計を採用しています。業務用のファンタム電源(+48V)をかけると、回路が一瞬で破損します。ファンタム電源で使用したい方は、XLR端子モデルの X-86S をお求めください。

X-86S について詳しく →

接続の手順

1

レコーダーの設定確認

レコーダーのメニューから「MIC POWER」または「PLUG-IN POWER」の設定を ON にしてください。OFFのままだと音が出ません。

2

マイクの接続

レコーダーの「MIC IN(マイク入力)」端子に P-86S を接続します。「LINE IN」には挿さないようご注意ください。

3

ゲイン(入力レベル)の調整

P-86Sは非常に高感度です。入力レベルはかなり低めからスタートし、音が割れないギリギリのラインを探ってください。32bit フロート対応レコーダーでも入力感度の調整が必要な場合があります。入力感度は小さめにし、後からノーマライズ処理で調整するのが安全です。

💡

ノーマライズ処理には、空音開発の無料アプリ KUON NORMALIZE をお使いいただけます。

KUON NORMALIZE を開く →

基本セッティング:無指向性AB方式

「間隔」が「広がり」を作る

LR40 cm
15 cm120 cm

広がりと中央が釣り合います。ここが基本です。

左右のマイクに音が届く時間の差は 1.17 ミリ秒。この差が、スピーカーで聴いたときの広がりになります。

つまみを動かすと、図が変わります。30cm から 50cm のあたりが基本です。

P-86Sのような無指向性マイクでは、マイクを向ける角度よりも「マイク同士の距離(間隔)」が重要です。左右のマイクを 30cm〜50cm 離して並行に設置する「AB方式」が基本。この距離によって生じる音の到達時間のズレが、スピーカー再生時にリアルなステレオ感(広がり)を生み出します。

狭め(20cm〜)中央に密度が集まり、親密な音に。
標準(30cm〜50cm)バランスの取れた自然なステレオ感。推奨。
広め(50cm〜)壮大なスケール感。フィールド録音に最適。

外観ギャラリー

音質だけに極限までこだわった結果、余計な装飾を一切削ぎ落とした「最小限の形状」です。

P-86S Housing
極小のハウジング

音の回折や反射を防ぐため、シールドは最小限に。Sennheiser MKE 2 や DPA 4060 等の市販ラベリアマイクとほぼ同じ構造です。

P-86S Cable
約1.5mのケーブル

現場での経験を活かした最適なケーブル長。マイクスタンドにレコーダーを設置すれば、取り回しに困ることはありません。

Glasses Microphone
応用:メガネマイク

その小ささと軽さを活かし、メガネのテンプルに装着。スタンド不要の「ウェアラブル録音」を実現します。

より良い録音のためのアイテム

P-86Sの性能を100%引き出すための推奨アクセサリー。ドイツ製 K&M を中心にご紹介します。

ステレオバー(マイクバー)

K&M 236

ドイツ製マイクバーの定番。高い剛性で微細な振動を抑え、安価な製品とは「音の締まり」が全然違います。通常はこれ1本でOK。

K&M 23560

ロングタイプ。自然界の録音やオーケストラなど、左右の幅を大きく取りたい場合に。壮大なステレオイメージを構築できます。

マイクスタンド

💡

ストレートタイプが基本です。ブーム(腕付き)タイプは重心がブレやすく、無指向性AB方式では音が濁る原因になります。

K&M 26000B

スタジオ常設向け。鉄板ベースの重量で床からの振動をシャットアウト。圧倒的に音が良くなるプロの定番。

K&M 20120B

折りたたみ式・持ち運び重視。軽量ながらドイツ製の精도でガタつきが少なく安定した録音が可能。

便利ツール

EDITOR'S PICKK&M 238B

ユニバーサルブラケット。スタンドのポールにレコーダーやマイクバーを増設できる万能ツール。日常生活でも「痒い所に手が届く」逸品。

K&M 232B

卓上スタンド。鉄製の重量級で振動を逃さない。デスクでの録音・ポッドキャスト収録に最適。

応用セッティング

AB方式の「距離」の考え方

無指向性マイクのステレオ録音で最も重要なパラメータは「マイクとマイクの距離」です。30cm以下だと音の到達時間差が少なすぎ十分なステレオ感が得られず、また距離を縮めすぎるとお互いの周波数領域が干渉し位相の悪い音になります。まずは 30cm以上離すことを基本ルールとしてください。

PRO'S PERSPECTIVE

「正解」はありません。40cmが最適という人もいれば、自然界の収録では1m以上離すこともあります。海外のオーケストラ録音では、数センチ単位で距離を調整してホールの響きをコントロールします。決まりがないからこそ面白く、エンジニアの感性が試される部分です。

Included with Purchase ・ 購入者特典アプリ

この距離探しを、数字で導くアプリが付属します。

KUON FIELD は、いま鳴っている音と Kuon 推奨セッティングの指紋との一致率をリアルタイムに表示する、マイキングのコーチです。マイクを動かすと数字が動き、この章で学んだ「あなたの最適距離」が実測で見つかります。憧れの録音を指紋化して目標にすることもできます。

単体販売 ¥9,800マイク購入者は ¥0購入確認メールのパスワードだけ・会員登録は不要
KUON FIELD を見てみる

バウンダリーマイキング

30cm以上の間隔さえ守れば、P-86Sは机や床にテープで直接貼り付けても使用可能です。これは「バウンダリーマイク」と呼ばれる手法で、床や壁からの反射音を排除しクリアな音を録ることができます。舞台演劇や会議の録音によく使われますが、先端を少し浮かせる工夫が必要です。

デスクで最高の音質を目指すなら、鉄製の重量級スタンド K&M 232B の使用を強く推奨します。振動を逃さず、音の芯が太くなります。

メガネマイク — 機動力の極み

メガネのテンプル(つる)の両端にP-86Sを装着する応用例です。左右の間隔は頭の幅(約15cm〜20cm)に限定されますが、頭のアーチでステレオ感を稼ぎ、耳に近い位置からバイノーラルマイクのような音響効果が得られます。マイクスタンド不要で「自分の聴いている音」をそのまま記録できるため、旅の記録やフィールドワーク、ドキュメンタリー取材など軽装で臨みたいシーンに最適です。

屋外録音の必需品

屋外では微風であってもマイクにとっては「暴風」のようなノイズになります。外で録音する際は、必ずウインドスクリーン(風防)を装着してください。適合サイズは「1.5cm のピンマイク用ヘアリーウインドマフ」です。これを装着するとかなりの暴風でも録音が成功していることが多いです。

※ Amazon・楽天等で「ピンマイク ウインドスクリーン 1.5cm」で検索すると見つかります。

⚠️取り扱いの最重要事項

P-86Sは最高の音質を追求するために、あえて頑丈さよりも音響性能を最優先に設計されています。市販の「頑丈だが音質を犠牲にしたマイク」とは根本的に異なる設計思想です。楽器と同じく、丁寧な扱いが最高の音を引き出します。

NG🚫先端をテープで塞がない

最高の音質を実現するため、先端の金属部分(集音口)は極限まで薄く精密に加工されています。ここにテープがかかると高音域が録音されなくなったり、音が極端に小さくなります。テープで固定する際は、必ず先端から少し離した場所に貼ってください。

NG👇先端を強く押さない

音質を最優先に設計しているため、先端部分には非常に薄く繊細な振動板が使われています。指で強く押したり、落下による衝撃を与えると振動板が変形し、本来の性能を発揮できなくなります。楽器と同じく丁寧に扱ってください。

楽器別セッティング早見表

いずれも「出発点」です。そこから、響きを増やしたければ離し、輪郭を出したければ近づけてください。

楽器・場面距離の出発点高さ・向きのメモ
グランドピアノ大屋根の開口部から 1〜2m打鍵音が気になれば離す
アップライトピアノ奏者の後方上部天板を開けると抜けが良くなる
バイオリン正面やや上方から 1〜2mf字孔を直接狙わない
フルート正面 1m 前後歌口を直接狙うと息の音が増える
合唱最前列から 2〜3m高さは口元より上に
発表会・演奏会客席中央〜後方に 1 本会場の規則に従って設置

録ったあとの道筋

P-86S で録った音は、空音開発のアプリでそのまま仕上げまで完結します。マイクではなく、録音の仕組み一式をお渡しするのが当スタジオの設計です。

1録る

P-86S とレコーダーで、入力レベルは低めに。

2整える

小さめに録った音量を、購入者特典アプリ KUON NORMALIZE で最適化。

NORMALIZE を開く →
3残す

仕上がった録音は、ブラウザ完結の KUON DAR で編集・書き出しまで。

KUON DAR を見る →

使い方のよくある質問

音が出ません。最初に確認することは?

レコーダーの「MIC POWER」または「PLUG-IN POWER」設定が OFF になっているケースがほとんどです。次に、LINE IN ではなく MIC IN に挿しているかを確認してください。

録った音が小さいのですが

故障ではなく設計どおりです。P-86S は音割れを避けるため入力レベルを低めに録り、後から KUON NORMALIZE で最適化する運用を推奨しています。32bit フロート対応レコーダーなら、この心配はさらに減ります。

屋外で風の音が入ります

ファー (毛皮) 素材のウィンドジャマーで防いでください。風の音は録音後の編集では取り除けません。小型マイク用の製品は、録音の小物チェックリストで紹介しています。

電池やカードは何を使えばよいですか

充電池は定番のエネループ、カードは信頼できる銘柄の国内正規品を推奨します。本番では両方とも予備を持つのが現場の作法です。具体的な製品は録音の小物チェックリストにまとめています。

X-86S との違いは何ですか

P-86S はプラグインパワーで挿すだけ、X-86S はミニXLR・48V ファンタム電源対応のプロ仕様です。オーディオインターフェイスや業務機材と組むなら X-86S をご検討ください。

P-86Sは、あなたの「耳」の代わりとなるパートナーです。 大切に扱ってあげてください。素晴らしい音を、あなたに届けてくれます。

空音開発 Kuon R&D

読み終えたあなたへ

取扱説明書を読んだあなたなら、 このマイクを使いこなせます。

国内送料無料 ・ 12 時までのご注文で当日発送

¥13,900税込

単体販売 ¥9,800 の KUON FIELD を含む、2 つの購入者特典アプリが無料で付属します。