イヤホンやヘッドホンを良いものに替えたのに、思ったほど音が変わらなかった。
そんな経験はないでしょうか。
原因の一つは、音の出口ではなく入口、つまりスマートフォンやPCの内蔵回路にあります。
こんにちは、音楽家の朝比奈幸太郎です。
この記事では、録音の現場で音響機材を扱ってきた立場から、USB-DACとヘッドホンアンプ9機種を「使う場所」で整理しました。
各機種にはAmazon・楽天・専門店の3つの販売ページを並べてあるので、気になった機種はその場で価格を見比べられます。
読者そもそもDACとは何ですか。本当に音が変わるのでしょうか
DACは、デジタルの音楽データをイヤホンで鳴らせる電気信号に変換する部品です。スマートフォンやPCにも内蔵されていますが、コストと省スペースの制約で最小限の設計になっています。専用のUSB-DACに置き換えると、変換の精度とアンプの駆動力が上がり、いま持っているイヤホンやヘッドホンのまま音の底上げができます。効果の大きさは組み合わせ次第ですが、仕組みとして根拠のある変化です。
筆者
選び方の軸は3つだけです
- どこで使うか。
持ち歩くならドングル型、机で使うなら据え置き型、外でも本格的に聴くならバッテリー内蔵のポータブル型が候補になります。 - 何をつなぐか。
スマートフォンにはUSB Type-C接続の小型機、PCには据え置き機が自然な組み合わせです。 - バランス接続を使うか。
4.4mm端子のイヤホン・ヘッドホンを持っている (または今後使いたい) なら、バランス出力付きを選んでください。
DAC・ヘッドホンアンプ・オーディオインターフェイスの違い
似た箱が3種類あるため、最初に整理しておきます。
この記事で紹介する8機種は、すべてDACとヘッドホンアンプが一体になったタイプです。
聴くことが目的ならこの一体型が最短で、録音もするならオーディオインターフェイスが候補になります。
ドングル型で選ぶ3機種
スマートフォンやPCのUSB端子に挿すだけの、いちばん手軽な形です。
イヤホン端子のないスマートフォンで有線イヤホンを使う受け皿としても定番になっています。
ドングル型3機種の比較
4.4mmバランス端子のイヤホンを持っているなら中央か右、3.5mmだけなら左で十分です。
FIIO
FiiO KA11
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイントスマートフォンやPCのUSB端子に挿すだけで使える小型のUSB DACです。32bit/384kHz対応の変換チップを搭載し、イヤホン端子のないスマートフォンでも有線イヤホンの音質を引き出せます。手のひらに収まる軽さと手に取りやすい価格で、ドングルDAC入門の定番として広く選ばれています。
数千円で「内蔵回路との違い」を体験できる入門機です。スマホの音に物足りなさを感じたら、最初に試す1本として無理がありません。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
水月雨
MOONDROP DAWN PRO 2 (破暁2)
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイントCS43198を2基搭載したポータブルDACの現行世代です。3.5mmステレオミニと4.4mmバランスの両出力を備え、1万円前後の価格でバランス接続に踏み出せます。DSD256や32bit/384kHzのハイレゾ再生に対応し、スマートフォンと組み合わせる高音質化の第一歩として人気を集めている1台です。
1万円前後で4.4mmバランス接続に踏み出せる現行世代です。バランス対応イヤホンの実力を引き出す最初の相棒に向きます。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
FIIO
FiiO KA17
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイントES9069Qを2基搭載したドングル型の上位機です。最大650mWの出力を持ち、4.4mmバランス接続で鳴らしにくいヘッドホンにも余裕を持って対応します。小さな筐体にディスプレイと外部給電モードを備えており、据え置き機に迫る駆動力をポケットに入れて持ち歩ける、ドングルDACの到達点として選ばれています。
ドングル型のままヘッドホンまで視野に入る駆動力です。持ち歩きと音質の両立を突き詰めたい人の到達点です。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
据え置き型で選ぶ4機種
PCの前で聴く時間が長いなら、据え置き型が本命です。
電源とサイズの余裕がそのまま駆動力と安定感になります。
据え置き型4機種の比較
迷ったら中央左のK11から。ヘッドホンが増えてきたらK7が受け皿になります。
FIIO
FiiO K11
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイントデスクトップに置きやすい小型の据え置きDAC内蔵ヘッドホンアンプです。6.35mm標準と4.4mmバランスの両出力を備え、最大1.4Wの駆動力でヘッドホンをしっかり鳴らします。ディスプレイ付きで音量や入力の状態がひと目で分かり、2万円前後で据え置き環境を始める最初の1台の定番になっています。
2万円前後で据え置きの世界が始まります。小さな机にも置けるサイズで、最初の1台に選びやすい構成です。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
FIIO
FiiO K7
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイントAK4493Sを2基とTHX AAA 788+アンプを搭載した据え置きの定番機です。フルバランス構成で6.35mm標準と4.4mmバランスの両出力を備え、最大2Wの駆動力を持ちます。PCとUSBで接続するだけで使い始められ、ヘッドホンリスニングの土台を一段引き上げる実力機として長く支持されています。
この価格帯の比較で必ず名前が挙がる定番です。駆動力に余裕があり、ヘッドホンを買い足しても長く付き合えます。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
iFi audio
iFi ZEN DAC 3
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイントBurr-Brown系チップを採用した据え置きUSB DACです。DSD512とPCM768kHzまでの高解像度音源に対応し、4.4mmバランス出力と低音を補強する独自機能を備えます。解像度一辺倒ではない厚みのある音の傾向で、聴き疲れしにくい音作りを求める人の定番として広く選ばれています。
数字の解像度ではなく、音の厚みと聴き心地で選ばれる1台です。長時間のリスニングが中心の人に向きます。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
フォステクス
FOSTEX HP-A4BL
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイント日本の音響ブランドFOSTEXによる据え置きDAC内蔵ヘッドホンアンプです。4ピンXLRのバランス駆動出力を備え、DSD 11.2MHzまでのハイレゾ音源の再生に対応します。スピーカーへつなげるライン出力も持っているため、デスクの音の中心として長く使える国産機を求める人に選ばれ続けている1台です。
日本の音響ブランドによる、4ピンXLRバランス駆動対応機です。スピーカーへのライン出力も持ち、デスクの音の中心になれます。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
外でも本格派の1機種
iFi audio
iFi hip-dac 3
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイント携帯できるフラスコ型のポータブルDAC内蔵ヘッドホンアンプです。4.4mmバランスと3.5mmの両方の出力端子を備え、内蔵バッテリーで動作するためスマートフォンの電池を消費しません。低音補強や出力切替の機能も備えており、外出先でも据え置きに近い聴き応えを求める人に向く定番のポータブル機です。
バッテリー内蔵なのでスマートフォンの電池を減らさず、外出先でも据え置きに近い聴き応えを持ち出せます。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
ハイエンドの1機種
予算の上限を外して「最後の1台」を探すなら、この機種が答えになります。
国内の正規流通は専門店が中心で、この記事では取り扱いのあるe☆イヤホンの販売ページを載せています。
Chord Electronics
Chord Mojo 2
★★★★★★★★★★4.5編集部の推し度
製品のポイント英国Chord Electronicsが独自設計のFPGAで信号処理を行う、ポータブルDACの到達点です。一般的なDACチップに頼らない設計で、他のどの機種とも系統の違う緻密な音を聴かせます。バッテリーを内蔵して持ち運びにも対応し、ヘッドホンリスニングの最終地点を探す人が最後にたどり着く1台として知られています。
独自設計の信号処理で、DACチップ搭載機とは系統の違う音を聴かせる英国の銘機です。ここまで来ると、次に買い替える理由がなくなります。
価格と在庫は各販売店でご確認ください
全9機種を一望する
迷ったら、この選び方で
価格は日々変動します。
各機種のカードのボタンから、Amazon・楽天・専門店の今日の価格を見比べてください。
同じ機種でも店によって価格やポイントの条件が違うことは珍しくありません。
DACを替えても効果がないという話も見かけます。実際はどうですか
効果の体感は、いま使っているイヤホン・ヘッドホンの性能と、聴く音源の質に左右されます。数千円のイヤホンと圧縮音源の組み合わせでは差が小さく、ある程度のイヤホンやヘッドホンを使っているほど差は分かりやすくなります。順番としては、まず音の出口 (イヤホン・ヘッドホン) を整え、その実力を出し切る段階でDACに投資するのが損のない道筋です。
ゲームに使うと遅延はありますか
この記事で紹介しているUSB接続のDACは、ワイヤレスと違って遅延は実用上問題になりません。ゲームと音楽を1台で兼ねる使い方にも向いています。
スマートフォンで使うと電池の減りが早くなりませんか
ドングル型はスマートフォンから給電するため、電池消費は確実に増えます。長時間使うなら、バッテリーを内蔵したポータブル型 (hip-dac 3など) か、外部給電モードを持つ機種 (KA17など) を選ぶと安心です。
スマートフォンにつないだのに認識されません
まず、充電専用ではなくデータ通信対応のUSBケーブル・変換アダプタを使っているか確認してください。次に、音楽アプリの出力先設定と、スマートフォン側の音量制限の設定を確認します。それでも鳴らない場合は、別のPCなどにつないで機器自体の動作を切り分けるのが早道です。
バランス接続とは何ですか。3.5mmと何が違いますか
左右の音を完全に独立した回路で駆動する接続方式で、4.4mm端子が現在の主流です。左右の分離が良くなり、アンプの駆動力も引き出しやすくなります。ただしイヤホン・ヘッドホン側もバランス対応のケーブルが必要なので、手持ちの機材の端子を確認してから選んでください。
オーディオインターフェイスを持っています。DACは別に必要ですか
オーディオインターフェイスもDACとヘッドホンアンプを内蔵しているので、置き換えとして十分使えます。録音をする人はそのままで問題ありません。聴くことに特化した音作りや、バランス出力・駆動力を求める段階になったら、リスニング用の専用機を検討する価値が出てきます。
ハイレゾ音源でないと意味がありませんか
いいえ。DACの恩恵は変換精度と駆動力の向上なので、普段の配信音源でも音は変わります。ハイレゾはその上積みと考えてください。
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DACとヘッドホンアンプは、いま持っている機材の実力を出し切るための投資です。
出口を整えてから入口を強化する。
この順番さえ守れば、散財にはなりません。
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