空音開発Kuon R&D
録音機材 · 2026.09.03

楽器録音の方法。オンマイクと空間録音、2つのアプローチで整理します

アコースティック楽器の音は「楽器+空間の響き」で完成しています。近接のオンマイクと距離を取るステレオ録音の使い分け、始め方の機材、そして無指向性ステレオ録音という本流まで解説します。

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目次

ピアノ、バイオリン、ギター、管楽器。
アコースティック楽器の録音には、声の録音とは違う原則があります。
それは楽器の音が「楽器本体+空間の響き」で完成しているということ。
この記事では、録音の現場で音響機材を扱ってきた立場から、楽器録音の2つのアプローチと、始め方を解説します。

読者
歌用に買ったマイクで楽器も録れますか

録れます。ただし歌用の単一指向性マイクを楽器に近づける録り方 (オンマイク) は、楽器の一部分の音を切り取る録り方です。楽器全体の鳴りと部屋の響きを含めた「聴いている音」を録るには、距離を取ったステレオ録音という別のアプローチが必要になります。用途で使い分けるのが正解です。

筆者

2つのアプローチを知る

オンマイクとステレオ録音
項目オンマイク (近接)ステレオ録音 (距離)
マイクの位置楽器の近く (数十cm)楽器から離す (1m〜)
録れる音楽器の一部を鮮明に楽器全体+空間の響き
向いている用途制作でのミックス素材演奏の記録・クラシック系
部屋の影響受けにくい良くも悪くも録り込む

ポップスの制作ではオンマイクで録って人工的な響きを後がけするのが主流、クラシックや生楽器の演奏記録では空間ごと録るのが本流です。
自分の目的がどちらかを最初に決めてください。

始め方1: ハンディレコーダー (最も手軽な空間録音)

ステレオマイクを内蔵したレコーダーを楽器から1〜2m離して置く。
これだけで「空間ごと録る」の入門が完成します。

ZOOM
ZOOM H1essential

内蔵ステレオマイクと32bitフロートで、置くだけの空間録音が成立します。毎日の練習記録から発表会まで、楽器録音の最初の1台です。

始め方2: オンマイク (制作向けの1本)

弾き語りの録音や、ミックス前提の制作なら、コンデンサーマイクを楽器に向けます。

audio-technica AT4040
オーディオテクニカ
audio-technica AT4040
4.5編集部の推し度
製品のポイント

ロングセラーAT4033aの系譜を受け継ぐ40シリーズの基幹コンデンサーマイクです。リファインされた大口径ダイアフラムがとらえる音はスピード感があり鮮烈かつナチュラルで、低域特性にも優れます。ボーカルから楽器まで幅広くこなす、中級域で長く信頼されてきた一本です。サスペンションホルダーが付属し、設置環境の振動対策もすぐ整います。

楽器にもボーカルにも使える万能なフラット系コンデンサーです。アコギの胴、ピアノの響板、管楽器のベル。1本でオンマイク録音の主戦場をカバーします。

価格と在庫は各販売店でご確認ください
Focusrite Scarlett 2i2 (第4世代)
Focusrite
Focusrite Scarlett 2i2 (第4世代)
4.5編集部の推し度
製品のポイント

世界的ベストセラーのオーディオインターフェース第4世代・2入力モデルです。同価格帯を上回るオーディオ性能をうたい、操作もシンプルで、ボーカルと楽器の同時録音やステレオマイク録音に対応します。自宅録音の標準機として最初の選択肢になる一台です。ループバック機能など配信向けの機能も備え、用途の広がりに対応します。

マイク2本まで受けられる世界標準のインターフェースです。将来ステレオペアでの録音に進んでも、そのまま使い続けられます。

価格と在庫は各販売店でご確認ください

本流: 無指向性ステレオマイクという答え

楽器と空間の響きを最も自然に収める方式が、無指向性マイクによるステレオ録音です。
無指向性はすべての方向の音を均等に受け止めるため、楽器の全体像と部屋の響きが、耳で聴いたままの自然な佇まいで記録されます。
クラシックの優秀録音の多くがこの系譜にあります。

空音開発では、この方式を1本で実現するアコースティック楽器専用の無指向性ステレオマイクを、一本一本ハンドメイドで製作しています。
ピアノや弦楽器の演奏を「聴こえているまま」残したい方は、マイクのページで試聴音源を聴いてみてください。
この記事で書いた原則が、そのまま音になっています。

迷ったら

価格は日々変動します。
各機種のカードのボタンから、今日の価格を見比べてください。

マイクはどこに置けばいいですか

原則は「良い音で聴こえる場所に立てる」です。部屋の中を歩いて、楽器が最も美しく聴こえた位置がマイクの位置の第一候補。耳で探してから機材を置く、この順番が録音の本質です。

ピアノはどう録りますか

距離を取った空間録音なら、蓋を開けて1〜2m、耳の高さより少し上が出発点です。近接なら響板の上にマイクを向けますが、打鍵音とのバランス調整が必要になります。まず空間録音から始めるのが失敗の少ない道です。

部屋の響きが良くありません

響きが濁る部屋では、思い切って近接寄りにするか、吸音の工夫 (別記事参照) で部屋を整えます。空間録音は部屋も楽器の一部として録る方式だからです。

あわせて読みたい

楽器の音は、空間と一緒に生きています。
録音とは、その生きた音の住所を決める仕事です。

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