目次
配信の声が薄い。
マイクを 3 本つなぎたいのに、入力が足りない。
買ったあとに、ファンタム電源が 2 つしか無いと気づいた。
この記事は、あなたが買う 1 台を決めるためのものです。
20 台を並べて選ばせることはしません。
3 つの問いに答えると、買う 1 台が決まります。

A 配信する人が買う 1 台
B 音楽を録る人が買う 1 台
C 質感で選ぶ段
買う前に、先に潰しておくこと
チャンネル数は、いまの本数で足りるか
足りません。
買って 1 年のうちに、マイクが増えます。
必要な本数に 2 本から 4 本を足した数で選んでください。
ファンタム電源は、全部の入力に来ているのか
来ていない型があります。
コンデンサーマイクを何本つなぐかを数えて、その数だけ 48V が出る入力があるかを見てください。
箱の裏で分かります。
デジタルとアナログ、どちらが音がいいのか
どちらでもありません。
音を決めるのはマイクプリです。
デジタルの価値は、設定を保存できることと、本体で録音できることです。
アナログの価値は、つまみを触ればそのまま変わることです。
USB 付きなら、インターフェイスは要らないのか
要りません。
ただし、USB の出力が全チャンネル別々か、まとめた 2 本だけかで、あとからできることが変わります。
別々に録りたいなら、そこを先に確かめてください。
ミキサーの音は、マイクプリで決まります
先に結論を書きます。
ミキサーを選ぶとき、音を決めているのはつまみの数でも画面の有無でもなく、マイクプリアンプ(マイク入力の増幅部)です。
マイクが送り出す電気は、とても小さいものです。
声を録るなら、その信号を千倍から一万倍ほどに持ち上げてから記録します。
持ち上げる部品の素性が悪いと、持ち上げると同時に雑音と歪みも増えます。
マイクをどれだけ良いものにしても、この段で失われた分は戻りません。
見るべき数値は二つです。
- EIN(等価入力雑音) この増幅部が自分で出している雑音の量です。
マイナスの値で書かれ、数字が大きいほど(例えば -128dBu のほうが -118dBu より)雑音が少なくなります - ゲインの幅 どこまで持ち上げられるかです。
出力の小さいダイナミックマイクやリボンマイクを使うなら、60dB 以上あると余裕が出ます
カタログにこの二つが書かれていない製品は、そこが売りではないという意味です。
それが悪いわけではありませんが、音の質で選んでいるつもりが、別の基準で選んでいることになります。
ミキサーは「マイクプリとADC」で選ぶ
配信、宅録、小規模ライブで複数の音をまとめるオーディオミキサー。
音の良し悪しは、マイクプリ(マイクアンプ)と回路・電源設計、そしてどこでデジタル変換(ADC)するかでほぼ決まります。
高い=良い音ではありません。
用途を決め、必要なチャンネル数(必要数+2〜4ch)を把握してから選ぶと失敗しません。
この記事では、デジタルミキサーとアナログミキサーの違い、配信用と宅録用の選び方、中古で買うときに見る点を順に整理し、最後に用途別の機種を挙げます。
デジタルミキサーとアナログミキサーの違い
「アナログとデジタル、どちらがいいのか」は、優劣ではなく用途の違いです。
重要なのは、DAWで各パートを別々に録りたいならデジタル(または多出力)が要る点です。
アナログはミックス後のステレオ2chが基本。
究極的に音にこだわるなら、ADCはミキサー任せにせず外部で選ぶ手もあります。
配信だけが目的なら、アナログの USB 出力つきで足ります。
歌や楽器を多重録音して後から直したいなら、デジタルか多出力の機種を選びます。
ミキサーの選び方。
チャンネル数・48V・USB の 3 点
チャンネル数は「必要数 + 2〜4ch」
マイクが 2 本、楽器が 1 本なら 3ch で足りる計算ですが、後から機材が増えます。
必要数に 2〜4ch を足した数を目安にしてください。
多くの用途で、思うほど多くの ch は要りません。
48V ファンタム電源の数を数える
コンデンサーマイクは 48V ファンタム電源が要ります。
ミキサーの「XLR 入力の数」と「48V を供給できる数」は別で、全部の XLR に 48V が出るとは限りません。
使うコンデンサーマイクの本数分、48V が出る入力があるかを確かめます。
USB 出力の種類
USB つきのミキサーには、ステレオ 2ch だけを PC へ送るものと、各 ch を個別に送るものがあります。
配信なら前者で足り、DAW で多重録音するなら後者が要ります。
製品名に USB と書いてあっても、送れる ch 数は機種で違います。
マイクとミキサーの間に入る機材の考え方はXLRマイクの音を活かすマイクプリアンプとオーディオインターフェイスの選び方とオーディオインターフェイスのおすすめと選び方にまとめています。
YAMAHA AG03 / AG06 をどう位置づけるか
配信用のミキサーを調べると、必ずこの二つが出てきます。
実際に定番です。
AG03 が 3 チャンネル、AG06 が 6 チャンネルで、機能の考え方は同じです。
定番になっている理由は、配信に必要なものが最初から入っているからです。
- パソコンの音とマイクの音を混ぜて、そのまま配信に送れます(ループバック)
- コンデンサーマイクを動かす 48V の電源を持っています
- USB でつなぐだけで、パソコンが録音機として認識します
一方で、正直に書いておきます。
これは「ミキサー」というより、ループバック機能の付いたオーディオインターフェースです。
配信という用途には過不足なく合っていますが、マイクプリの素性を見て音を追い込む種類の機材ではありません。
用途で分けるとこうなります。
- 配信、通話、ゲーム実況が目的なら AG03 か AG06。
迷う理由がありません - 楽器や声を、あとで編集する前提で録るなら、マイクプリの数値が公開されている機材を選びます。
この記事の後半で挙げているものが該当します - 人数が多い、または舞台で使うなら、チャンネル数と物理的なつまみの数で選びます
AG03 と AG06 の違いは、入れられる本数です。
マイク 1 本と楽器なら AG03、マイク 2 本以上や複数の機器を混ぜるなら AG06 になります。
配信用ミキサーの選び方
ライブ配信では、マイクの声、BGM、ゲームや通話の音を一つにまとめて配信ソフトへ送ります。
- PC 配信: USB 出力つきのアナログミキサーが扱いやすい構成です。
マイクは XLR で挿し、BGM はライン入力に入れ、USB で配信ソフトへ送ります - スマートフォン配信: 端末側の入力が 1 系統に限られるため、ミキサーの出力を端末に入れる変換ケーブルや、端末対応をうたう機種が要ります。
購入前に端末との接続方法を確かめてください - ループバック: PC の音(BGM や通話相手の声)を配信に混ぜ戻す機能です。
配信用途では、この機能の有無で使い勝手が大きく変わります
配信では、音そのものより「遅れが無いこと」と「操作を間違えないこと」が大切です。
つまみが物理的に並ぶアナログが向くのはこのためです。
中古のミキサーを買うときに見る点
ミキサーは中古市場が厚く、状態の良いものが多く出回ります。
見る点は次の 3 つです。
- ガリ: フェーダーとつまみを端から端まで動かして、雑音が出ないか。
長く放置された個体ほど出やすい - 48V: 全ての XLR 入力でファンタム電源が実際に出るか。
片側だけ死んでいることがある - 電源: 外部アダプター式の機種は、純正の電源が付属しているか。
代替品は探しにくい
デジタルミキサーの中古は、ファームウェアの更新が続いているかも確かめます。
更新が止まった機種は、PC や OS の更新で接続できなくなることがあります。
アナログミキサーのおすすめ
定番は YAMAHA MG シリーズ
透明感があり素直に音を通します。
マイクアンプが自然でクリアで、これとマスターレコーダーだけでも高い水準に届きます。
音に徹底的にこだわるならADCを外に出せる MGX、配信や宅録の使い勝手なら MGXU。
取り回しは12chが小回りが利きます。
素直さで選ぶ | BEHRINGER XENYX 1204USB
良い意味で個性がなく、マイクやシンセの音をそのまま出します。
8ch(内4chがXLR/48V)でUSB内蔵。
配信や小規模収録に扱いやすい定番です。
コスパで選ぶ | MACKIE MIX12FX / ProFX16v3
マッキーはミキサーが神コスパ。
MIX12FXはエフェクト内蔵で軽量コンパクト。
チャンネル数が要るなら上位のマイクプリを積んだ ProFX16v3。
質感で選ぶ | Soundcraft / Allen&Heath
英国老舗の音。
Soundcraft はイギリスらしい質感で、Lexicon エフェクト搭載の Notepad-FX も便利。
Allen&Heath は本格制作の管制塔向きで、24bit/96kHz のインターフェイス内蔵機(ZEDi-10)もあります。
デジタルミキサーのおすすめ
配信・多重録音 | ZOOM LiveTrak
サウンドパッドや同時多重録音、SDへのダイレクト録音までこなす配信向けデジタル。
最初の一台なら L-8、バランスなら L-12 が扱いやすいです。
各 ch を個別に PC へ送れるので、後から DAW で直せます。
純粋なアコースティック録音なら、ミキサーは要らないことも
コーラスやオーケストラ、少人数アンサンブルを美しく録るのが目的なら、実はミキサーが不要な場合があります。
2本のマイクによる無指向性ワンポイント・ステレオ録音が、いちばんシンプルで音がいい。
空音開発が一貫して勧める方式です。
方式の違いはステレオマイクの選び方と方式に整理しています。
買い替えで前のミキサーが残るときは、動くうちに手放すという選択もあります。
査定で見られる点はオーディオ買取はどこがいい。
査定の5点と店の選び方にまとめました。
この記事は、空音開発がマイクロフォンを設計して製造する立場から書いています。
マイクプリの見方を軸にしているのは、そのためです。
研究者識別子 ORCID は 0009-0002-2530-4142、測定した公開データの永続識別子は DOI 10.5281/zenodo.22064426 と 10.5281/zenodo.22076507 です。
記載は 2026 年 9 月 16 日に確認しました。
条件が違う人のための、残りの選択肢
上の 3 台で決まらないときだけ、ここを見てください。
ヤマハの系列で、チャンネル数を変える
アナログで、質感と値段を比べる
デジタルで、本体に録る
よくある質問
迷ったら、この 1 本です
読み終えて、まだ決めかねているなら、この 1 本から始めてください。
向かない場合は、札の中に書いています。






