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楽典と音楽 · 2026.08.16

テンションコード 意味|9、11、13 が示す音と読み方

コードネームの「9」「b13」「#11」はテンションです。四和音の上に積み重ねられたこれらの数字が何を意味し、どの音を指すのか。3度積みの構造からくる命名の理由と、和音の種類ごとに使えるテンションを整理します。

目次

コードネームに現れる「9」「b13」「#11」という数字。

これらテンションは和音に色を添える音ですが、数字の意味がわからなければ読むことも使うこともできません。

この記事では、テンションコードの読み方と仕組みを手順を追って解説します。

テンションコードとは何か

テンションとは、四和音(ルート、第3音、第5音、第7音)の上に積み重ねられた音のことです。

第9音、第11音、第13音がこれにあたります。

和音を3度ずつ積み重ねていく考え方の延長線上にあるため、2度や4度ではなく9度、11度、13度という数字で呼びます。

C をルートとしたときの、各テンションと実音の対応を整理します。

テンションと実音(ルート C)
表記音度実音ルートから見た音程
9長9度D長2度(レ)
b9短9度Db短2度(レ♭)
#9増9度D#増2度(レ♯)
11完全11度F完全4度(ファ)
#11増11度F#増4度(ファ♯)
13長13度A長6度(ラ)
b13短13度Ab短6度(ラ♭)

テンションの数字はどう読むのか

コードネームを左から順に読めば、テンションの数字は自然に解けます。

C7b9 を例に手順を追います。

  1. ルートは C
  2. 7 があるので四和音。
    C7 の構成音は C、E、G、Bb
  3. b9 が付いているので、ルートの短9度上にあたる Db を加える
  4. 結果、C、E、G、Bb、Db の五音が C7b9 の構成音

G13 であれば、G、B、D、F に第13音の E を加えます。

第9音の A を含めるかは演奏者の判断で、第11音の C は長3度の B と短9度で衝突するため通常省かれます。

記号の b や # は、ルートから見たテンション音そのものに対してかかります。

C7#9 の #9 は D# であり、Eb ではありません。

楽譜に書くとき異名同音で表記されることもありますが、意味としてはルートの増9度上です。

コードネームの基本的な読み方は、[コードネーム 読み方。

Cm7b5を左から順に読めば解ける手順](https://kuon-rnd.com/journal/chord-symbol-how-to-read)も参照してください。

9、11、13はなぜその数字なのか

第2音、第4音、第6音をオクターブ上げたものが、それぞれ第9音、第11音、第13音です。

ではなぜ「2」ではなく「9」と書くのでしょうか。

理由は和音の構成原理にあります。

和音はルートから3度ずつ音を積み重ねてつくられます。

ルート、3度、5度、7度と積んできて、その上にさらに3度を積むと9度、その次が11度、そして13度です。

この「3度積み」の構造を反映して、7度を超えた音は9、11、13という数字で呼ばれるというわけです。

実際のボイシングでも、テンションは高音域に置かれることが多く、数字がその配置の感覚と一致します。

C9 の D の音は、密集した中音域ではなく上の方に置かれるのが自然です。

使えるテンションと避けるべき音はどう決まるのか

すべてのテンションがすべての和音に使えるわけではありません。

使えるかどうかの目安は、テンションと和音の構成音のあいだに短9度(半音にオクターブを加えた音程)の衝突が生じるかどうかです。

短9度の衝突は響きが濁りやすく、多くの場合避けられます。

主要な和音でのテンションの相性を整理します。

和音の種類ごとのテンション
和音の種類よく使われるテンション避けられやすいテンション
メジャーセブンス9、#11、1311(長3度と短9度で衝突)
ドミナントセブンスb9、9、#9、#11、b13、13ナチュラル11(長3度と衝突、sus4なら可)
マイナーセブンス9、11b13(第5音と短9度で衝突)

ドミナントセブンスにテンションの選択肢が多いのは、ドミナントが緊張感を生む和音だからです。

不協和な響きが機能に合うため、b9 や #9 といった変化テンションもよく使われます。

この点は[ドミナントセブンス 解決。

V7とG7、同じ和音がなぜ二つの名前を持つのか](https://kuon-rnd.com/journal/dominant-seventh-resolution-v7-g7)でも取り上げています。

流派や理論書によって、使えるテンションの分類に差があることもあります。

たとえばマイナーセブンスに13を使えるかどうかは、書籍によって見解が分かれます。

実例として使われることはあるが理論上は避けるべきとされる場合もあり、最終的には耳で判断するとよいでしょう。

実際の演奏で何に気をつけるか

第一に、テンションは旋律との関係で選びます。

メロディに Db がある小節で Cmaj9 の D を弾くと、D と Db が短2度でぶつかることがあります。

その場で鳴っている旋律を確認してからテンションを決めてください。

第二に、11th を含む和音では第3音との衝突に注意します。

メジャーコードの長3度と完全11度は短9度の関係になり、これが不協和に響きます。

#11 であれば長3度と増4度の関係になり衝突が和らぐため、メジャーコードでは 11 ではなく #11 を使うのが通例です。

第三に、テンションをすべて詰め込もうとしないことです。

G13 と書いてあっても、13の音だけを足し、9や11は省くボイシングは一般的です。

テンションを選び音数を絞ることで、和音の性格がはっきりします。

なお、クラシックの和声理論では、これらの音は非和声音(経過音や倚音など)として扱われ、和音構成音とは見なされません。

発想の出発点が異なるだけのことで、響きそのものが変わるわけではありません。

ここまでテンションコードの数字の意味と使い方を見てきました。

では、あなたが次にコード譜を手にしたとき、見慣れないテンションに出会ったらまず何をしますか。

和音の種類を確認するか、ルートからの音程を数えるか、それとも実際に鳴らして耳で確かめるか。

優先順位を持っておくだけで、コード譜を読む速度は変わります。

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