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楽典と音楽 · 2026.08.27

非和声音 種類|5種類を拍と進行の2層で見分ける手順

和声分析で和音に属さない音に出会ったら、掛留音・経過音・刺繍音・逸音・先取音の5種類に分類します。拍の位置と進入・解決の進行、2層で見分ける手順を身につけます。

目次

和声分析をしていると、鳴っているのに和音の構成音ではない音に出会うことがあります。

それが非和声音(nonharmonic tone)です。

読み終えると、その音が5種類のうちどれか、拍と進行の2層で自分で判定できるようになります。

迷った音に名前が付き、次にどこへ動くかまで見えます。

こんにちは。

音楽家の朝比奈幸太郎です。

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非和声音とは、どの音を指すのか

非和声音は、その瞬間に鳴っている和音の構成音ではない音です。

和声外音とも呼ばれます。

和音の構成音を和声音(chord tone)と呼び、それ以外の音をすべて非和声音として扱います。

たとえば、C を根音(root)とする長三和音(major triad)は C、E、G の3音です。

この上で D、F、A、B が鳴れば、構成音ではないので非和声音です。

構成音かどうかは、根音からの度数(degree)で判定します。

長三和音なら第1音、第3音、第5音です。

分類の軸は2つあります。

ひとつは拍の位置、もうひとつは進入と解決の進行です。

拍は強拍(strong beat)と弱拍(weak beat)に分かれます。

進入と解決は、順次進行(step、隣の音へ1音ずつ進むこと)か跳躍進行(leap、音を飛ばして進むこと)かで見ます。

非和声音 5種類
種類進入解決
掛留音強拍前の和音から保つ順次下降
経過音弱拍順次進行順次進行(同じ向き)
刺繍音弱拍順次進行順次進行(元へ戻る)
逸音弱拍順次進行跳躍進行(反対向き)
先取音弱拍進入は問わない次の和音が追いつく

掛留音(suspension)は、前の和音の音を保ったまま強拍にかかり、不協和を作って順次下降して解決する音です。

経過音(passing tone)は、2つの構成音の間を順次進行で通り抜ける音です。

刺繍音(neighbor tone)は、構成音から1音離れてすぐ戻る音です。

逸音(escape tone)は、順次進行で入って跳躍進行で抜ける音です。

先取音(anticipation)は、次の和音の構成音を先に鳴らす音です。

非和声音は、どうやって見分けるのか

見分け方は、2層の手順です。

まず和音を確定し、次に拍を見て、最後に進入と解決を見ます。

最初に、その瞬間の和音を確定します。

ローマ数字による読み方は、和音記号 読み方|大文字と小文字の違い、転回を示す数字 で整理しています。

構成音を書き出し、問題の音が構成音なら和声音、違えば非和声音と判定します。

第一層は拍の位置です。

強拍とは拍の頭で打たれる音の位置です。

小節の頭や各拍の頭がこれに当たります。

弱拍とは強拍の間を軽く流れる位置です。

問題の音が強拍にあれば掛留音、弱拍にあれば残りの4つに絞られます。

強拍の例外は後述します。

第二層は進入と解決です。

その音へどう入り、どう出るかを見ます。

度数と性質の数え方は、音程 数え方|度数と性質、2層で判定する手順 で扱っています。

弱拍の4つは、こう分かれます。

進入も解決も順次進行で、2つの異なる構成音の間を同じ向きに通り抜けるのが経過音です。

C と E の間に D が入る形です。

進入も解決も順次進行ですが、同じ構成音から出て同じ構成音へ戻るのが刺繍音です。

C から D へ上がって C へ戻る形です。

進入が順次で解決が跳躍、しかも反対向きへ抜けるのが逸音です。

E から D へ順次で下がり、D が G へ跳躍で上がる形です。

進入が順次で、次の和音が来てその音を構成音として受け止めるのが先取音です。

C の和音の最後に、次の構成音を先に鳴らす形です。

強拍の掛留音は、進入と解決の形が決まっています。

前の和音から同じ音をタイで保って入り、1音下へ順次下降して解決します。

前の和音の F を保ったまま C の和音に進むと、F は構成音の E と半音でぶつかり、E へ順次下降して解決します。

この2層を当てはめれば、名前を暗記せずに分類できます。

拍で半分に絞り、進行の組み合わせで確定する。

分類は暗記ではなく、手順です。

なぜ非和声音は、順次進行で解決するのか

非和声音が解決を必要とするのは、和音の構成音と不協和(dissonance)を作るからです。

不協和な音は「まだ終わらない」という緊張を生み、解決がそれを解きます。

解決が順次進行なのは、声部進行(voice leading)の原理です。

不協和を解くには、最も近い安定した構成音へ最小の動きで進むのが自然だからです。

跳躍すると新たな不協和を生みやすくなります。

拍の位置が第一層になるのも同じ理由です。

強拍は打点という強い瞬間で、不協和が鳴ると緊張が最も大きく、解決が欠かせません。

だから掛留音は前の和音から音を保つ準備を経て、順次下降します。

弱拍の4つは拍の合間を通過するだけで、緊張が収まります。

先取音だけは向きが違います。

不協和を作るのではなく、次の和音の音に先に触れるだけです。

次の和音が来た瞬間に構成音になるため、順次進行で解決する必要がありません。

この例外自体が、「非和声音は不協和を解くために順次進行する」原則の裏返しです。

判断に迷ったとき、どこを見るのか

掛留音と倚音(appoggiatura)。

強拍に置かれる非和声音には、倚音という種類もあります。

違いは進入です。

掛留音は前の和音から同じ音を保って入り、倚音は跳躍進行で入ります。

どちらも順次下降で解決します。

掛留音を中心に説明する教科書が多い一方、倚音を独立した種類として数える流派もあります。

5種類に数えないのは、倚音を掛留音に含める立場があるためです。

経過音と刺繍音。

どちらも進入と解決が順次進行で、混同しやすい組み合わせです。

区別は「通り抜けるか、戻るか」です。

問題の音の前後にある2つの構成音が異なる音なら経過音、同じ音なら刺繍音です。

逸音と刺繍音。

刺繍音が元の音へ戻るのに対し、逸音は反対方向へ跳躍して抜けます。

逸音は5種類の中で唯一「順次進入と跳躍解決」の組み合わせです。

跳躍が出てきたら逸音を疑います。

ただし跳躍の先がまた別の非和声音であることもあり、その場合は前後を見ます。

先取音と掛留音。

どちらも音が保たれますが、向きが逆です。

掛留音は前の和音から引きずる音、先取音は次の和音を先取りする音です。

前後の和音を見れば区別できます。

保続音(pedal point)。

低音部(bass)で和音の進行に関係なく鳴り続ける音です。

構成音でないことが多いのですが、独立した低音の持続として扱います。

5種類の分類からは外れます。

なお、ジャズでは9度や13度をテンション(tension)として和音の一部に数え、解決を求めません。

和音外の音に解決を前提とする非和声音とは、同じ「構成音以外の音」でも扱いが逆です。

テンションの読み方は、テンションコード 意味|9、11、13 が示す音と読み方 で扱っています。

手元の楽譜では、その音はどこへ動くのか

次に和声分析をするとき、説明できない音に出会ったら、その音の拍の位置と、前後が順次進行か跳躍進行かを見てください。

あなたが今分析している曲では、その非和声音はどこから来て、どこへ解決していますか。

動きまで含めて和声の一部として読めたとき、手順は自分のものになっています。

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