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楽典と音楽 · 2026.08.25

リハーモナイゼーション やり方|旋律の1音を何の和音にできるか、差し替える手順

同じ旋律のまま、下に敷く和音だけを差し替えるリハーモナイゼーション。旋律の1音がどの和音の構成音になりうるかを数え上げ、代理コードと裏コードで差し替える手順を、C の音を例に説明します。

目次

リハーモナイゼーションは、旋律を変えずに、その下に敷く和音だけを別のものに差し替える技法です。

読み終わると、旋律の1音がどの和音のどの構成音になりうるかを数え上げ、代理コードや裏コードを使って和音を差し替えられるようになります。

こんにちは。

音楽家の朝比奈幸太郎です。

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リハーモナイゼーションとは何か

リハーモナイゼーション(reharmonization)は「再び和声を付ける」という意味です。

旋律(メロディ)はそのままにして、その下に並ぶ和音だけを、もとの進行とは別のものに置き換える作業を指します。

和音はいくつかの構成音(chord tone)の積み重ねでできています。

和音は下から根音(root)、第3音(third)、第5音(fifth)と音程(interval)を重ね、さらに第7音(seventh)や第9音(ninth)を加えることもあります。

それぞれの音には度数(degree)の呼び名があります。

和音の構成音(C を根音に取ると)
和音の種類構成音度数
長三和音(major triad)C, E, G1度・3度・5度
短三和音(minor triad)C, Eb, G1度・3度・5度
属七の和音(dominant seventh)C, E, G, Bb1度・3度・5度・7度

旋律の1音から、差し替え先をどう見つけるか

手順は3段です。

まず、旋律の1音を取り出し、それがどの和音のどの構成音になりうるかを数え上げます。

1つの音は複数の和音の構成音になれるからです。

C の音を例に取ると、次のようになります。

旋律の音 C がなりうる構成音
旋律の音なりうる構成音和音の例
C根音(1度)C, Cm, C7
C第3音(3度)Ab, Am
C第5音(5度)F, Fm
C第7音(7度)Dm7, D7
C第9音(9度)Bb9
C第13音(13度)Eb13

同じ C の音でも、C の根音にも、Ab の第3音にも、F の第5音にもなれます。

候補は常に複数あり、ここに和音を差し替える余地が生まれます。

第9音や第13音のような、第7音より上の音はテンション(tension)と呼ばれます。

読み方はテンションコード 意味|9、11、13 が示す音と読み方で扱っています。

次に、機能(function)を意識して候補を絞ります。

調性音楽(tonal music)では、和音はトニック(tonic)、サブドミナント(subdominant)、ドミナント(dominant)の3つの機能に大別されます。

トニックは安定し、ドミナントはトニックへ進もうとする緊張を持ち、サブドミナントはその中間です。

C を主音に取ると、トニックは C、サブドミナントは F、ドミナントは G7 です。

同じ機能を持つ和音は互いに代理できます。

これを代理コード(substitute chord)と呼びます。

共通する構成音が多いほど、機能が近いからです。

C を主音に取ったときの機能と代理
機能主要な和音代理の和音共通する構成音
トニックC(C, E, G)Am(A, C, E)C, E
トニックC(C, E, G)Em(E, G, B)E, G
サブドミナントF(F, A, C)Dm(D, F, A)F, A

最後に、ドミナント限定の差し替えがあります。

裏コード(tritone substitution)です。

属七の和音は、第3音と第7音の間にトライトーン(tritone、三全音)を持ちます。

G7(G, B, D, F)なら、第3音の B と第7音の F がトライトーンです。

トライトーンは上下対称なので、根音をトライトーン離れた位置に移した Db7(Db, F, Ab, Cb)も、Cb が B の異名同音(enharmonic)であるため、同じ B と F を持ちます。

第3音と第7音が入れ替わるだけです。

そこで G7 の代わりに Db7 を使えます。

C → G7 → C という進行は、C → Db7 → C と書けます。

G7 の解決先についてはドミナントセブンス 解決|V7 と G7、次に進む先の決め方も参照してください。

なぜ共通する音が多いと差し替えられるのか

代理コードも裏コードも、同じ理由で成立します。

和音の機能は、和音全体ではなく特定の音が担うからです。

G7 がトニックへ進もうとする力は、B と F というトライトーンの2音から生まれます。

B はトニックの C へ半音上がりたがり、F は E へ半音下がりたがります。

この2つの半音進行が解決の感覚を作ります。

だから B と F を持つ Db7 も、同じ力を持ちます。

根音が G でも Db でも、機能を担う音が同じなら役割は同じです。

トニック代理も同じ理屈です。

C がトニックらしく聞こえるのは、C、E、G の集まりがもたらす安定によります。

C と E を共有する Am や、E と G を共有する Em は、その安定の一部を引き継ぎます。

機能を担う音を共有すれば、代わりを務められるというわけです。

判断の基準も同じです。

共有する音が多いほど差し替えは穏やかで、少ないほど響きは大きく変わります。

Am への差し替えは穏やか、裏コード Db7 への差し替えは強い変化です。

狙う変化の大きさに合わせて選びます。

差し替えで、どこにつまずきやすいか

ひとつ目は、旋律との衝突です。

差し替えた和音に、旋律の音が含まれているか確認します。

裏コードへの置き換えで、旋律が元の根音や第5音を長く伸ばしていると衝突が起きることがあります。

たとえば G7 の上で旋律が G を長く伸ばしているとき、Db7 に置き換えると、G は Db7 の構成音ではありません。

不協和に響くか、狙った緊張になるかは耳で判断します。

ふたつ目は、代理のしすぎです。

和音を全部代理すると元の曲の骨格が分からなくなります。

代理コードや裏コードは、進行の要所に1か所か2か所入れるのが効果的です。

もとの進行が残っていてこそ、差し替えの変化が引き立ちます。

みっつ目は、代理が機能の代理であることの見落としです。

Am はトニック代理ですが、短三和音なので C メジャーと同じ明るさではありません。

機能は同じでも響きは違います。

その色の変化を意図として持ってください。

あなたの曲では、どの和音を差し替えますか

いま編曲している曲の和音進行を1つ取り出し、旋律の音がそれぞれどの和音のどの構成音になっているか数え上げてみてください。

その和音を同じ機能の代理コードや裏コードに置き換えると、どんな響きになるか。

差し替える前と後を耳で比べてみてください。

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