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楽典と音楽 · 2026.08.22

転調 やり方|共通和音と属和音で新しい調へ移る手順

転調のやり方を手順で身につけます。行き先の調を決め、二つの調に共通する和音を橋にし、新しい調の属七で導いて主和音へ着地する。C 長調から G 長調への例で、共通和音の見つけ方から見分け方まで追えます。

目次

この記事を読み終えると、転調(modulation)を自分で設計できるようになります。

行き先の調を決め、共通する和音を橋にして、新しい調の属七の和音で主和音へ着地する。

この手順と、楽譜の変化記号から転調の位置を見抜く目が身につきます。

こんにちは。

音楽家の朝比奈幸太郎です。

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転調とは何か。
移調とどこが違うのか

転調は、曲の途中で主音(tonic)を別の音へ移して調を変えることです。

主音とはその調の中心の音で、C 長調が G 長調へ切り替わるのが転調です。

混同しやすいのが移調(transposition)です。

移調は曲全体を別の高さへ書き直す操作で、曲の中では調は変わりません。

C 長調を F 長調へ書き換えるのは移調です。

移調のやり方も参照してください。

転調先を選ぶ基本が近親調(closely related keys)です。

元の調と調号(key signature)の差が1つ以内の調の集まりです。

C 長調の近親調は以下です。

C 長調の近親調
調主和音調号元の調との関係
G 長調GF# 1つ属調
E 短調EmF# 1つ属調の平行調
F 長調FBb 1つ下属調
D 短調DmBb 1つ下属調の平行調
A 短調Amなし平行調

平行調(relative key)は同じ調号を共有する長調と短調、属調(dominant key)は主音が第5音、下属調(subdominant key)は第4音にある調です。

近親調の主和音(tonic triad)は元の調の構成音だけで作れます。

共通和音から属和音へ、手順はどう組むのか

転調の要は共通和音(common chord)です。

元の調と行き先の調の両方に属する和音で、ピヴォット・コード(pivot chord)とも呼びます。

これを橋にして移ります。

手順は5段です。

  1. 行き先の調を決める。
    まず近親調から選びます。
  2. 元の調と行き先の調の音階を、主音から順に書き出す。
  3. 各音の上に三和音(triad)を積み、両方の構成和音を書き出す。
  4. 根音と性質が一致する和音を探す。
    これが共通和音の候補です。
  5. 候補から橋を選ぶ。
    行き先の調で I や V になる和音は主役なので、ii、IV、vi のような準備役を選ぶと属七の和音(dominant seventh)へつながります。

C 長調から G 長調へ移る例で確認します。

音階を並べると、違うのは F と F# の1音だけです。

2つの調の音階
調音階(主音から順に)
C 長調C、D、E、F、G、A、B
G 長調G、A、B、C、D、E、F#

各音の上に三和音を積むと、C 長調は C、Dm、Em、F、G、Am、Bm(b5)、G 長調は G、Am、Bm、C、D、Em、F#m(b5) です。

両方に現れる和音を並べます。

C 長調と G 長調の共通和音
共通和音構成音C 長調での役割G 長調での役割
CC、E、GI(主和音)IV(下属和音)
EmE、G、Biiivi
GG、B、DV(属和音)I(主和音)
AmA、C、Eviii

ローマ数字は主音を1番目とした度数(degree)で、大文字が長三和音(major triad)、小文字が短三和音(minor triad)です。

4つの候補から、G 長調で ii になる Am を橋に選びます。

曲が C → F → Am と進んだとします。

この Am まで聞き手は C 長調の vi として聞いています。

その Am を G 長調の ii と解釈し直すと、見え方が切り替わります。

続けて D7 を挟み、G へ着地します。

C → F → Am → D7 → G

後半の Am → D7 → G は、G 長調の ii → V7 → I です。

D7 の F# は C 長調に無い音で、ここで耳が G 長調へ傾き、G で確定します。

近親調同士なら共通和音は複数見つかります。

なぜ属和音を挟むと新しい調に決まるのか

転調が耳に効くのは、属和音の緊張と解決があるからです。

D7 の構成音は D、F#、A、C です。

F# は G 長調の導音(leading tone)で、主音 G の半音下にあります。

半音下の音は主音へ上がろうとするので、耳は G を待ち構えます。

同時に、F# と C が作る三全音(tritone)も働きます。

三全音は半音6個分の不安定な音程で、F# は G へ、C は B へ解決します。

この二つの音が主和音の G と B に収まるので、耳は自動的に G を主音として聞きたくなります。

属七が主和音へ収まる仕組みも参照してください。

この働きは見分けにも使えます。

調号にない変化記号が出たら転調を疑います。

転調で迷いやすいのはどこか

迷いやすい場面は三つです。

一つ目は借用和音(borrowed chord)との区別です。

C 長調が同主調(parallel key)の C 短調から Fm を借りても、すぐ C へ戻るなら借用で転調ではありません。

主音が実際に移って新しい調に留まるかで判断します。

二つ目は、属七が出ても転調とは限らないことです。

C 長調で D7 → G と進んでも、G を強調する副属和音(secondary dominant)にすぎないことがあります。

続きが C 長調に戻れば転調ではありません。

G が新しい主音として扱われて初めて転調です。

三つ目は近親調の外へ移る場合です。

同主調の C 短調へ移るときは主音が同じなので共通和音がほとんどありません。

新しい調の属七へ直接入るか、第3音の変化(E から Eb へ)を合図にします。

これをキーセンター(key center)の移動と呼ぶ流儀もあります。

最後に、あなた自身の曲で考えてみてください。

いま書いている曲や練習している曲で、実際に調が切り替わっている箇所はどこですか。

楽譜の変化記号を手がかりに、その和音進行が元の調と新しい調のどちらの文脈で動いているか、共通和音がどの和音かを書き出してみてください。

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