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楽典と音楽 · 2026.09.06

コード進行 仕組み|緊張と弛緩、3つの機能で読む手順

コードを押さえられても、なぜその順番なのか説明できない。コード進行を緊張と弛緩の運動として読み、各和音の機能を見分ける手順です。

目次

コードを押さえることはできても、なぜその順番に並ぶのか説明できない。

この記事を読み終えると、コード進行を緊張と弛緩の運動として読めるようになります。

各和音が出発・緊張・帰着のどの役割を担うかを見分け、機能の名前と度数表記を同じものとして読み替えられるようになります。

こんにちは。

音楽家の朝比奈幸太郎です。

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コード進行は何を指すのか

和音(chord)は、複数の音を同時に鳴らしたものです。

もっとも基本の形が三和音(triad)で、根音・第3音・第5音の三つの音から成ります。

コード進行(chord progression)は、この和音を時間の順に並べたものです。

ただし単なる並びではなく、和音から和音へ移ることで生まれる「動き」を指します。

C を主音(tonic)に取った長調の骨組みになるのは、次の三つの三和音です。

C 長調の三和音
和音構成音
CC、E、G
FF、A、C
GG、B、D

この三つは役割が違います。

C→F→G→C と並べると、始まって、動いて、戻ってきた感じがします。

F→C→G と並べ替えると、途中で止まった感じがします。

並び順こそがコード進行の本質です。

どう見分けて、どう使うのか

手順は三段階です。

調を決め、各和音を三つの機能に振り分け、進行を運動として読みます。

一段目は、主音を決めることです。

調(key)の中心となる音で、C を主音に取ると C の和音が「家」、つまりトニックになります。

トニックは主音の上に積んだ和音で、音楽が落ち着く場所です。

二段目は、各和音を三つの機能(function)に振り分けることです。

トニックは帰着です。

落ち着く和音で、C 長調では C です。

サブドミナントは出発です。

家を離れる和音で、C 長調では F です。

ドミナントは緊張です。

家へ戻りたくなる和音で、C 長調では G です。

この三つの機能は、度数(degree)で書くと I・IV・V になります。

度数とは、主音から数えて何番目の音に和音を積むかを示す番号です。

I は第1音、IV は第4音、V は第5音に積んだ和音を指します。

三段目は、進行を「緊張と弛緩」の運動として読むことです。

多くの進行は、トニックから出発し、サブドミナントで離れ、ドミナントで緊張が高まり、トニックへ戻って解ける、という弧を描きます。

C→F→G→C はその典型で、G で最も緊張し、次の C で解けます。

この「戻りたい」という力が、コード進行を前に進めます。

クラシックではこれを機能和声と呼び、トニック・サブドミナント・ドミナントの名で表します。

ジャズでは同じものを度数で表し、I・IV・V と書きます。

呼び名は違っても、指している役割は同じです。

片方だけ知っていれば、トニックは I、サブドミナントは IV、ドミナントは V と読み替えられます。

度数表記の利点は、調が変わっても同じ機能を指し続けることです。

G を主音に取れば、G→C→D→G が同じ弧を描きます。

詳しい読み方は和音記号 読み方で扱っています。

なぜ緊張が生まれるのか

緊張と弛緩は、音どうしの関係から来ます。

複数の音が同時に鳴るとき、その組み合わせが協和(consonance)していれば落ち着いて聞こえ、不協和(dissonance)していれば落ち着かず、動きたくなります。

ドミナントの働きを強めるのが属七の和音(dominant seventh)です。

G7 は G、B、D、F の四つの音から成ります。

この中の B と F は、不協和な音程(interval)である三全音(tritone)を作ります。

この二つの音は不安定で、解決したがります。

B は導音(leading tone)と呼ばれ、主音 C の半音下にあるため、C へ上がろうとします。

F もまた、トニックの第3音 E の半音上にあるため、E へ下がろうとします。

G7 から C へ進むと、B が C へ、F が E へ動いて緊張が解けます。

この解決が訪れる地点が終止(cadence)です。

詳しくはドミナントセブンス 解決で扱っています。

どこで読み間違えやすいのか

一番の落とし穴は、和音の機能が和音そのものに固定されていると思い込むことです。

同じ C の和音でも、C 長調ではトニック、F 長調ではドミナント、G 長調ではサブドミナントになります。

機能は調との関係で決まるのであって、和音の名前では決まりません。

もう一つは、三つの機能だけでは説明しきれない進行があることです。

短調では話が変わり、同じ機能を持つ別の和音(代理和音、substitute chord)に入れ替わることもあります。

トニックの代わりに Am、ドミナントの代わりに Bdim を使う、といった具合です。

骨組みはトニックからドミナントへという流れですが、そこから外れる進行も数多くあります。

実際の進行の例として、II-V-I 進行があります。

サブドミナントの役割を II 度の和音が担う形です。

進行の感覚は和音だけで決まるわけでもありません。

リズムや旋律、音域も「動き」の印象に関わります。

コード進行は、その全体のうち和音の機能に注目する見方だと捉えてください。

あなたの曲ではどうですか

あなたが普段弾いている曲のコード進行を、トニック・サブドミナント・ドミナントの三つに分けてみてください。

一番強く「動く」と感じる場所には、どの和音がありますか。

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