目次
手に入れたのに、使えない?
LUTを手に入れた。
配布サイトからダウンロードしたか、購入したか、あるいは誰かから受け取ったか。
フォルダの中に、.cubeという見慣れない拡張子のファイルが並んでいる。
DaVinci Resolveを開く。
カラーページに行く。
LUTと書かれた場所を探す。
そこには最初から入っているLUTが並んでいるだけで、自分のファイルはどこにもありません。
ドラッグ&ドロップしてみるも反応しない。
メニューを探しても、「LUTを読み込む」という項目が見当たらない。
ここで多くの人がつまずきます。
理由は単純で、Resolveは指定されたフォルダの中身しか見ていないからです。
読み込むのではなく、置く。
考え方が、他のソフトと少し違いますので、解説していきます。
LUTフォルダは、決まった場所にある

Resolveは、決められたフォルダを起動時に走査して、そこにある.cubeファイルを一覧に表示します。
だから、やるべきことは「正しい場所に置く」ことだけなのです。
場所はOSごとに決まっています。
Windowsの場合は、
CopyC:\ProgramData\Blackmagic Design\DaVinci Resolve\Support\LUT
ProgramDataは初期状態で隠しフォルダになっています。
エクスプローラーの表示タブから、隠しファイルを表示する設定にしてください。
あるいは、アドレスバーに上記のパスを直接貼り付ければ開けます。
Macの場合は、
Copy/Library/Application Support/Blackmagic Design/DaVinci Resolve/LUT
ここで注意してほしいのは、これが起動ディスク直下のLibraryだという点です。
ユーザーフォルダの中にある ~/Library ではありません。
Finderで移動メニューを開き、optionキーを押しながらライブラリを選ぶ方法ではなく、「フォルダへ移動」に上記のパスを貼り付けるのが確実です。
Linuxは
Copy/opt/resolve/LUT
インストール先を変更している場合は、その配下になります。
場所が分からなくなったら
パスを覚える必要はありません。
実はResolve自身に聞くことができます。
環境設定を開き、システムのタブからメディアストレージを選ぶと、Resolveが参照している場所が確認できます。
さらに確実なのは、カラーページのLUTパネルで、既存のLUTフォルダを右クリックすることです。
Finderで表示 あるいは エクスプローラーで表示 という項目が出るので、そこから開けば必ず正しい場所にたどり着きます。
この方法なら、バージョンやインストール環境が違っても迷いません。
置いたあと、リストを更新する
.cubeファイルをフォルダに入れただけでは、まだResolveの画面には出てきません。
一覧を作り直す操作が要ります。
カラーページを開きます。
画面左上のLUTパネルを表示します。
表示されていない場合は、画面上部のツールバーにあるLUTのアイコンを押してください。
LUTのリスト部分で右クリックし、LUTを更新を選びます。
これで、追加したファイルが一覧に現れます。
Resolveを再起動しても同じ結果になりますが、更新のほうが速い。
現れない場合、原因はほぼ二つです。
置いた場所が違うか、ファイルの拡張子が .cube になっていないか。
ダウンロード時にzipのまま解凍していない例が、意外と多くあります。
当てる。
三つの方法
一覧に出たら、実際に映像へ適用します。
方法は三つあり、それぞれ性質が違います。
サムネイルにドラッグする LUTパネルから、タイムライン上のクリップのサムネイルへドラッグします。
最も手軽ですが、現在選択されているノードに直接書き込まれるため、あとから調整しにくい。
ノードを右クリックして選ぶ カラーページのノードを右クリックし、LUTから目的のファイルを選びます。
どのノードに当たっているかが明確なので、実用上はこれが基本です。
ノードのLUTドロップダウンから選ぶ カラーページ下部のカラーホイールの領域に、LUTを指定する項目があります。
ノードを選んでから指定する方式です。
いずれの方法でも、結果は同じです。
重要なのは、どのノードに当たっているかを、常に把握しておくことです。
そして、ここには順序の問題があります。
LUTをどのノードに置くかで、出てくる色は完全に変わる。
特にLog形式で撮った素材の場合、当てる位置を間違えると、そのLUTは本来の設計とまったく違う結果を返します。
これは独立した主題なので、次の記事で詳しく扱います。
フォルダを分けて、名前をつける
ここからが、他の解説記事があまり書かない部分です。
LUTは、必ず増えます。
最初の数本は覚えていられますが、二十本、三十本と増えた時点で、一覧はただの文字列の羅列になります。
どれが何なのか、当ててみるまで分からない。
対策は単純で、LUTフォルダの中に、自分でサブフォルダを作ることです。
たとえば、こう分けます。
CopyLUT/
01_変換/
02_ルック_昭和/
03_ルック_ステージ/
04_モノクロ/
Resolveは、サブフォルダをそのままカテゴリとして表示します。
一覧が階層化され、目的のLUTに一発でたどり着けるようになります。
先頭に数字を振っているのは、表示順を固定するためです。
アルファベット順に並ぶので、番号がないと意図しない並びになります。
そして最も重要な分類が、一番上に置いた変換です。
LUTには性質のまったく違う二種類があり、これを混ぜると事故が起きます。
ひとつは、Log形式の素材を通常の色に戻すための技術的な変換のLUT。
もうひとつは、映像に雰囲気を与えるためのクリエイティブなルックのLUT。
前者は「正解のある処理」で、後者は「好みの選択」です。
役割がまるで違うのに、どちらも同じ.cubeという形式で配布されるため、一覧に並ぶと区別がつきません。
フォルダを分けておけば、この取り違えは起きません。
ファイル名にも作法があります。
日本語のファイル名は、環境によって文字化けや読み込み失敗の原因になります。
半角英数字とアンダースコアで統一してください。
配布されたLUTの名前を勝手に変えると、作例や解説と照合できなくなるので、名前は基本的にそのまま使うのが安全です。
他人と共有するとき、リンクは切れる

もう一つ、あとから必ず困る問題があります。
LUTは、プロジェクトファイルの中に埋め込まれていません。
Resolveは「このノードで、このパスにあるLUTを使う」という情報だけを持っています。
つまり、プロジェクトを別のパソコンに渡すと、相手の環境に同じLUTが入っていない限り、色は再現されません。
グレーディングが消えたように見えます。
対策は二つあります。
LUTファイルも一緒に渡す。
最も確実で、単純です。
プロジェクトと.cubeファイルをセットで受け渡す運用にしてください。
プロジェクトアーカイブを使う。
プロジェクトマネージャーで右クリックし、アーカイブとして書き出すと、関連するファイルをまとめて梱包できます。
自分ひとりで作業する場合でも、これは他人事ではありません。
パソコンを買い替えたとき、OSを再インストールしたときに、同じことが起きます。
LUTフォルダは、素材と同じくバックアップの対象だと考えてください。
なお、Resolveをアップデートすると、まれにLUTフォルダの中身が初期化されることがあります。
自作や購入したLUTは、必ず別の場所にも保管しておいてください。
手元にLUTがないなら
ここまでの手順を試したくても、そもそも当てるLUTを持っていない場合があります。
空音開発では、演奏動画のために設計した空音ルックを配布しています。
朝比奈幸太郎が一本ずつ設計した3D LUTで、33³格子の標準的な.cube形式です。
昭和、演奏・ステージ、フィルム、自然界、世界の街という五つのカテゴリに、あわせて33本あります。
このうち8本は、無料の会員登録だけで使えます。
ブラウザ上のビデオシンクに映像を読み込むと、その場のフレームにルックを当てたサムネイルが並ぶので、色の好みを画で選べます。
言葉で説明されるより、自分の映像で見たほうが早い。
.cubeファイルとしてダウンロードし、この記事の手順でResolveに入れて使うこともできます。
ブラウザで当てても、Resolveで当てても、同じRec.709の映像には同じ色が返ります。
演奏動画に特化したLUTは、市場にほとんど存在しません。
ホールの照明、練習室の白い壁、ライブハウスの色つきの光。
そうした現場を想定して作られているという点だけ、既製品との違いです。
まとめ
DaVinci ResolveにLUTを追加するには、決められたフォルダに.cubeファイルを置き、LUTパネルで右クリックしてリストを更新する。
場所が分からなければ、既存のLUTフォルダを右クリックして「Finderで表示」から開く。
そして、置いたあとの管理が本題です。
サブフォルダで分類する。
技術的な変換と、クリエイティブなルックを混ぜない。
プロジェクトを渡すときは、LUTファイルも一緒に渡す。
この三つを最初に決めておけば、本数が増えても破綻しません。
次は、そのLUTをどのノードに、どの順番で当てるかという話です。
ここを間違えると、どんなに良いLUTでも本来の色は出ません。
最も誤解が多く、そして最も差が出る場所です。



