空音開発Kuon R&D
録音技術 · 2022.11.03

チェロ録音のマイクと方法|距離・高さ・マイキングの基本【保存版】

チェロ録音の距離・高さ・マイキングを音響エンジニアが解説。近づけすぎない、高さが決め手という要点から、指向性別の距離の目安、ショップス MK5 や空音開発 P-86S、ZOOM F3 まで。

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目次

チェロ録音は「距離」と「高さ」で決まる

チェロは楽器全体で呼吸するように鳴る楽器です。
f字孔にマイクを近づけるほど、弓の擦過音と特定の周波数だけが強調され、痩せた不自然な音になります。
まずは楽器から少し離し(50cm〜1m)、胴全体の鳴りと部屋の空気を混ぜて捉えるのが基本です。

マイキングの基本位置

ブリッジ(駒)のやや上から、f字孔あたりを見下ろす角度が基準です。
ブリッジ寄りはアタックが立ち(ソロ向き)、指板寄りは柔らかくなります(伴奏向き)。
数センチの移動で音は激変するので、ヘッドホンでモニターしながら「自分の耳で聴く音」に一番近い点を探します。

指向性別の距離の目安(スタート位置)
マイク距離(ブリッジから)高さ(床から)備考
単一指向性50〜80cm90〜120cm近いと低音が膨らむ。少し離す
無指向性30〜60cm70〜100cm近接効果がなく木の鳴りをリアルに

無指向性は近接効果が出ないぶん近づけられ、AB方式の間隔は30〜40cm、チェロは広め(35cm以上)が狙い目です。

マイク選び

弦楽器はショップス MK5(指向性と無指向性の切替式)が一つの頂点で、松脂の引っ掛かりまで捉えます。
予算を抑えるなら SE8 や LEWITT LCT540S も良い選択です。
無指向性のワンポイントなら、空音開発の P-86S(プラグインパワー)や X-86S(ミニXLR)という選択肢があります。
筆者がショップスや DPA を現場で使ってきた経験をもとに、その音を目標に自作したマイクです。
大きな投資の前に、まず聴き比べてみてください。

sE Electronics sE8 コンデンサーマイク
価格と在庫は各店でご確認ください
LEWITT LCT 540 S コンデンサーマイク
価格と在庫は各店でご確認ください

レコーダーとマイクプリ

ステレオペアで完結するなら ZOOM F3 が定番。
32bitフロートで音割れの心配がなく、素直でストレートな音です。
マルチなら F6 / F8。
マイクプリで色を足したくない透明志向なら、YAMAHA MG の2ch(MG06 など)を素直なマイクアンプとして使う手もあります。
内部がシンプルなほど音と信頼性に有利です。

モニターは必須

映像制作でマイクだけ立ててヘッドホンをしない人がいますが、それはファインダーを覗かずに撮るのと同じです。
必ずモニターしてポイントを探してください。
定番は SENNHEISER HD25、SONY MDR-CD900ST、コスパなら CLASSIC PRO CPH7000。

よくある質問
近づけて録るとキーキー音が目立ちます

近すぎです。単一指向性ならブリッジから50〜80cm、無指向性なら30〜60cmまで離し、高さを約1mにして見下ろす角度にしてください。

低音がボワボワして締まりません

高さが低すぎて床の反射と混ざっている可能性が高いです。まず高さを上げて調整してください。角度や左右幅より高さが効きます。

マイク1本(ステレオペア)でどこまでいけますか

部屋の響きが良ければ、無指向性AB方式のワンポイントで多くの場面は完結します。まずシンプルに録り、必要なときだけ要素を足してください。

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