空音開発Kuon R&D
映像編集 · 2026.07.29

演奏動画のLUTは、会場の光で選ぶ。空音ルック33本の使い分け一覧

33本並んでいても、どれを選べばいいか分かりません。 選ぶ基準はジャンルでも好みでもなく、撮影した場所にどんな光があったかです。 ホール、教会、ライブハウス、練習室。 光の性格から逆に引く、実用の一覧です。

目次

Kuonでは現在33本のLUTをダウンロードしてもらえます。

でも、多すぎても選べないですよね。

片端から当てていくのもいいですが、十本目あたりで、判断がつかなくなってきます。

二十本目には、最初に見た色を忘れています。

結局、なんとなく良さそうな一本を選んで、それが本当に最適だったかは分からないまま公開するといった経験はないでしょうか。

これは、選択肢が多いことの必然的な副作用です。

解決策は、本数を減らすことではなく、選ぶ順番を決めることにあります。

基準は、ジャンルではなく光

多くの人は、演奏のジャンルからルックを選ぼうとします。

クラシックだから上品な色、ジャズだから暗い色、というように。

これは、うまくいきません。

同じクラシックでも、ホールの舞台と、白い壁の練習室と、ステンドグラスの教会では、映像に写っている光がまったく違うからです。

そのジャンルは音の話であって、光の話ではありません。

正しい基準は、撮影した場所に、どんな光があったかです。

具体的には、三つを見ます。

光源の色。

白熱電球の黄色い光か、LEDの白い光か、窓からの昼光か。

色かぶりの方向が決まります。

次に明暗の差。

スポットライトで演奏者だけが浮かんでいるのか、部屋全体が均等に明るいのか。

黒をどう扱うかが決まります。

そして背景の色。

木の壁か、白い壁か、暗幕か。
彩度をどう振るかが決まります。

この三つが分かれば、33本のうち候補は3本以下に絞れます。

残りは好みの問題なので、そこから先は迷っても構いません。

そして重要なのは、当てる前に映像は正しい色になっている必要があるという点です。

Logのまま当てても、設計どおりの結果は返りません。

その前提が不安な方は、先にLUTを当てる正しい順序を確認してください。

演奏・ステージ 5本

KuonのLUTをダウンロードしたらまず、この5本から見てください。

演奏動画のために設計され、明部の階調と肌の色を守ることを最優先にしています。

1,コンサートホール concert_hall 木の温かさと、荘厳さ。
明部の階調を守る設計です。

ホールの舞台は、上からの照明が強く、白いシャツやピアノの反射が飛びやすい。

このルックは、その明るい領域を潰さずに残しながら、木の壁の暖色を活かします。

発表会、コンクール、リサイタルのホール撮影なら、まずこれを当ててみてください。

ブラウザ上では無料で使えます。

2,リサイタル・室内楽 recital_chamber 親密で清澄。
肌を美しく、色は控えめに正確に。

小ホールやサロン、室内楽の映像向けです。

ホール用より色の主張を抑え、演奏者の表情と肌の再現を優先しています。

弦楽四重奏、歌曲の伴奏、少人数の編成に。

3,ジャズ・ライブハウス jazz_club 締まった黒に、琥珀のスポット。
低いキーで。

黒を深く沈め、スポットライトの琥珀色だけを残します。

背景が暗く、演奏者だけが浮かぶ映像で最も効きます。

ジャズに限らず、暗い会場での演奏全般に使えます。
無料で使えます。

4,教会・聖堂 church_cathedral 青と金。
ステンドグラスの光を活かす。

教会は撮影が難しい場所です。

窓からの色つきの光と、室内の暖色照明が混在し、ホワイトバランスが一点に決まりません。

このルックは、その混在をあえて活かす方向で作っています。

オルガン、聖歌、教会でのリサイタルに。

5,練習室・スタジオ practice_studio 自然光のまま、正直に。
ニュートラルな一本。

色を足さないためのルックです。

レッスン記録、練習の記録、オーディション提出用の映像など、演出してはいけない映像に使います。

コンクールの予備審査動画のように、加工が好まれない用途では、これを選ぶのが安全です。

昭和ルック 11本

1980年代末から90年代初頭の日本。

低いキー、暖かい色、滲む光、そして退色。

筆者が好きなLUTです。

演奏動画に使うなら、歌もの、弾き語り、ポップス、ジャズが合うと思います。

クラシックの記録映像には強すぎることが多いので、MV的な作品に振るときの選択肢と考えてください。

昭和ネオンの夜 showa_neon_night 濡れた路面に滲むネオン。

低いキーの、暖かい夜。

こちらもブラウザ上での利用なら無料で使えます。

フィルム暖色 1990 film_warm_1990 褪せた暖色と柔らかい黒。

平成初期の室内。

ネオン ティール&オレンジ neon_teal_orange 影に青、灯りに橙。

繁華街と車載の定番。

昭和 室内タングステン showa_interior_tungsten 白熱灯の黄み。

木と畳の部屋のために。
和室での演奏、古い家屋での撮影に。

退色デイライト faded_daylight 曇り空の昼を、少しだけ褪せさせる。
素直なベースで、昭和カテゴリの中では最も汎用性があります。

昭和歌謡のステージ showa_kayo_stage 強い照明と濃い影。
歌番組の舞台の色。
ステージ照明のある会場に。

喫茶店の午後 kissaten_afternoon 琥珀の光と、くすんだ緑。
窓際の午後。
無料で使えます。

歌舞伎町の雨 kabukicho_rain 雨に散る看板の色。
夜の街の湿度。

夏の縁側 summer_engawa 白く飛ぶ陽射しと、青く沈む影。
夏の記憶。

夕暮れの団地 danchi_dusk 紫がかった薄暮。
コンクリートと、暮れていく空。

VHSの記憶 vhs_memory 滲む色と、沈んだ黒。
テープの手触り。
11本の中で最も強く、最も選ぶ場所を選びます。

フィルム 8本

ネガ、リバーサル、白黒。
アナログ写真と映画フィルムの色を、肌の見え方を基準に作っています。

演奏動画では、汎用の仕上げとして使いやすいカテゴリです。
昭和ルックほど時代を限定しないため、作品性を足したいときの第一候補になります。

暖色ネガ film_warm_negative ネガフィルムの暖かい肌と、柔らかい対比。

クールリバーサル film_cool_reversal リバーサルの締まった青と、高い彩度。

高コントラスト film_high_contrast 深い黒と、抜けた白。
強い対比で立たせる。

退色・軟調 film_faded_soft 褪せた色と持ち上げた黒。
軟らかい階調。

シネフィルム film_cinema 映画の落ち着いた色。
過剰にしない一本です。
迷ったときに最も外れが少なく、演奏動画への適合も高い。
無料で使えます。

白黒・高コントラスト bw_high_contrast 硬質なモノクローム。
黒が粒立つ。
無料で使えます。

銀塩・ノワール bw_silver_noir 銀の階調と、沈んだ影。
ノワールの夜。

調色(セピア) bw_toned セピアに調色したモノクローム。
古い印画の色。

白黒の3本について、一つ実用的な話をします。
照明条件が悪い映像ほど、白黒が効きます。
色かぶりが混在してホワイトバランスが決まらない現場、蛍光灯とLEDが混ざった練習室、色の情報を捨てたほうが良い映像は確実にあります。
救済手段として持っておくと、判断が楽になります。

自然界 5本

その場の空気を保ったまま、澄ませて深める。
忠実さと豊かさを両立させた5本です。

演奏動画では、屋外の演奏、風景の挿入カット、映像作品の中の情景に使います。
演奏本編と挿入カットで別のルックを使う場合、この5本が受け持つことが多い。

森・緑 forest_green 緑を瑞々しく深く。
木漏れ日は暖かく、影には青を。
無料で使えます。

水辺・海 water_sea 濁りを抜き、青緑を澄ませる。
水の透明感のために。

空・雲 sky_clouds 青を深く、夕焼けを豊かに。
雲の階調は守る。

山・大地 mountain_earth 大地の暖色と、遠景の青。
空気遠近で奥行きを作る。

霧・光 mist_light 低い彩度と空気感。
光そのものを主役に。
演奏動画の冒頭や締めのカットに合います。

世界の街 4本

旅と都市。
地域ごとの光と空気の違いを、色でそのまま書き分けます。

北欧・クール nordic_cool 抑えた冷色と、静かな明度。
北の街の光。

南欧・地中海 mediterranean 温かい陽とテラコッタ。
少しだけ褪せた地中海。
無料で使えます。

アジアの喧騒 asia_vivid 高い彩度と熱気。
看板と人の街のために。

石畳・ヨーロッパ european_cobblestone 抑えた古典色。
石畳と、時間の質感。

迷ったときの、三本
それでも決まらない場合の、実用的な出発点を挙げておきます。

ホールで撮った なら、コンサートホール。
暗い会場で撮った なら、ジャズ・ライブハウス。
それ以外の全部 は、シネフィルム。

この三本はいずれも無料で使えるので、まずここから当ててみて、方向が見えたら近いカテゴリを掘るのが最短です。

言葉ではなく、画で選ぶ
ここまで文章で説明してきましたが、正直に言えば、色は言葉では決まりません。

「琥珀の光と、くすんだ緑」と読んでも、自分の映像に当たったときの姿は想像できない。
まして、自分が撮ったホールの照明、自分の楽器の色、自分の衣装の色に対して、どう作用するかは分かりません。

だから、当ててみるのが最も速い。

空音開発のビデオシンクに映像を読み込むと、その場のフレームにルックを当てたサムネイルが一覧で並びます。
自分の演奏動画に対する結果を、並べて比べられる状態です。
選んで、そのまま書き出せます。

無料の会員登録だけで、この記事で「無料で使えます」と記した8本が使えます。

処理はすべて端末の中で行われ、映像がサーバーに送られることはありません。

そして、この8本には各カテゴリの代表が含まれています。
コンサートホール、ジャズ・ライブハウス、シネフィルム、白黒・高コントラスト、昭和ネオンの夜、喫茶店の午後、森・緑、南欧・地中海。
演奏動画で必要になる場面は、この8本でほぼ一巡できます。

33本すべてと、DaVinci Resolve用の.cubeファイルのダウンロードは、有料プランに含まれます。
ブラウザで当てても、Resolveで当てても、同じRec.709の映像には同じ色が返ります。

まとめ

演奏動画のルックは、ジャンルではなく会場の光で選びます。

光源の色、明暗の差、背景の色。

この三つを見れば、33本は3本以下に絞れます。

ホールならコンサートホール、暗い会場ならジャズ・ライブハウス、それ以外はシネフィルム。

この三本から始めて、方向が定まったら同じカテゴリを掘る。

そして最後は、自分の映像に当てて目で決めてください。
色の判断だけは、他人の言葉を信じる必要がありません。

次は、当てたルックが強すぎたときの話です。
そのまま使うのではなく、どこまで薄めるか。
仕上げの精度は、ここで決まります。

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