目次
音鉄とは、鉄道に関わるあらゆる音を集める趣味のことです。
写真を集めるのが撮り鉄なら、音を集めるのが音鉄です。
呼び方は「おとてつ」です。
音鉄には4つの種類があります
集める音によって、呼び分けられています。
走行音鉄は、列車が走るときの音を集めます。
加速と減速のモーター音、車輪とレールが擦れる音、継ぎ目を越える音、気動車のエンジン音。
車両の形式と路線で、音色もリズムも変わります。
発車メロディ鉄は、駅のスピーカーから流れる発車メロディを集めます。
自動放送鉄は、車内や駅構内の自動放送を集めます。
機器動作音鉄は、扉の開閉音や、床下の空気圧縮機が動く音を集めます。
自分がどれを録りたいのかで、立つ場所も、機材も変わります。
音鉄は禁止されているのか
結論から書きます。
音鉄そのものは、禁止行為ではありません。
問題になるのは、いつも録り方のほうです。
鉄道会社も、音鉄という趣味の存在を前提に情報を出しています。
JR東日本は自社のメディアで音鉄を紹介し、あわせて撮影と収録のマナーについて協力を呼びかけています。
つまり「やってはいけない趣味」ではなく、「守るべき線がある趣味」です。
その線を、次にはっきりさせます。
やってはいけないこと
現場で問題になりやすい行為を並べます。
ここを外さなければ、まず困りません。
鳴らしてもらうよう頼まない
車掌や駅員に「鳴らしてください」と依頼する行為です。
業務中の相手に、業務外の要求をすることになります。
強く出れば、迷惑行為として扱われます。
鳴らなかった日は、鳴らなかった記録として持ち帰ってください。
スピーカーに密着しない
駅のスピーカーにマイクを押しつけて録る方法です。
音は大きく録れますが、設備に触れることになります。
車両に取り付けられたスピーカーでの密着は、さらに危険です。
車体に触れる行為であり、架線が近い場所では感電の危険もあります。
駆け込み、駆け降りで録らない
閉まりかけの扉に走り込む、発車間際に飛び降りる。
自分が危ないだけでなく、乗務員が安全を確認する妨げになります。
その列車が録れなくても、次があります。
乗降口の前で構えない
扉の正面にあるスピーカーは、音がよく録れる場所です。
同時に、人が最も通る場所です。
少し離れた別のスピーカーを探してください。
一脚を伸ばしたまま歩かない
構内を伸ばしたまま移動すると、人にぶつかります。
移動するときは畳んでください。
構内では走りません。
ホームでの自撮り棒の使用を禁じている事業者もあります。
掲示を確認してください。
係員に言われたら、その場でやめる
これがいちばん大切です。
駅を管理しているのは駅員です。
止めるように言われたら、理由を問わずにやめてください。
その一度の判断が、この趣味全体の評価を作ります。
何を録るかで、立つ場所が変わります
ここからが録り方です。
走行音を録る
車内で録ります。
床下から響くモーターの音を主役にするなら、台車の真上に近い席の足元にマイクを置きます。
車端部は継ぎ目を越える音がよく入ります。
中央寄りは、モーター音が均一に入ります。
窓を背にすると、風切り音と反射が混じります。
通路側を向けたほうが素直に録れます。
手で持つと、指が擦れる音が入ります。
膝に置くか、荷物の上に載せて、動かさないでください。
発車メロディを録る
ホームで録ります。
スピーカーの真下は、音が近すぎて割れます。
少し離れて、斜め下から狙ってください。
反射の少ない、開けた側に立ちます。
扉の前と階段の下は避けます。
人が通る場所だからです。
自動放送を録る
車内放送は、天井のスピーカーから鳴ります。
真下ではなく、少し外した位置のほうが自然に録れます。
真下は音が上から降ってきて、言葉の輪郭がぼやけます。
放送が始まってから録音を押すと、頭が切れます。
駅に近づいたら回しておいてください。
機器動作音を録る
扉の開閉音は、扉から1メートルほど離れた位置が録りやすい距離です。
床下の空気圧縮機は、停車中に不意に動きます。
狙って録るというより、回し続けて待つ音です。
雑音とは、付き合うものです
どれだけ場所を選んでも、雑音は入ります。
風、自動車、カラス、犬、人の咳、選挙演説。
防ぎようのないものばかりです。
とくに風は、屋外での最大の敵です。
マイクに風防を付けるだけで、結果が変わります。
そして、入ってしまった雑音を悔やみすぎないでください。
その日その場所の音が、そのまま入っているということです。
何年か経つと、雑音のほうが記憶を呼び起こすことがあります。
機材は、録りたい音から決まります
ここからが機材の話です。
順番はレコーダーが先で、マイクが後です。
理由があります。
音鉄では、機材を構えている時間より、移動している時間のほうが長いからです。
片手で持てて、すぐ回せることが、音質より先に効きます。
まず1台なら、手のひらに収まるレコーダー
内蔵マイクだけで、走行音も発車メロディも録れます。
選ぶ基準は、32ビットフロートに対応しているかどうかです。
突然の大音量で割れなくなります。
指向性を切り替えたい、外部マイクを足したいと思ったときに、次を考えれば十分です。
耳で確かめないと、録れているか分かりません
録音中にヘッドホンで聴いていないと、風切り音も擦れる音も気づけません。
現場で確かめられることが、後から直すより確実です。
マイクを足すとき
内蔵マイクの限界は、空気の広がりです。
無指向性のマイクを2本使うAB方式にすると、ホームの奥行きや、列車が通り過ぎる方向まで入ります。
私は市販のマイクをひと通り試したうえで、自分が使いたいマイクを自分で作りました。
プラグインパワーのレコーダーに挿すだけで使えます。




