目次
🎛️
本記事で使用するソフトウェア
SOUND FORGE Pro 18
バンドル:iZotope RX10 De-click 搭載
レコードのデジタル化から高精度ノイズ除去まで。
プロ仕様の音声編集ソフトウェアと業界標準の修復ツールがセットになった最強バンドル。
詳細・購入はこちら
※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます
🎵 Studio Guide / Noise Removal
ビニール(レコード)デジタル化の
プチプチノイズを消したい!
RX10 De-click 完全操作ガイド
Sound Forge 18 Pro にバンドルされた iZotope RX10 の De-click モジュールを使い、ヴァイナルのプチプチノイズを外科的に除去する方法を完全解説。
GUIの各パラメーターをひとつずつ丁寧に説明し、実際の操作をステップバイステップでガイドします。
Sound Forge 18 Pro
iZotope RX10
De-click
ビニール / レコード
ノイズ除去
📋 この記事の内容
なぜプチプチノイズが発生するのか
RX10 の起動と画面構成
スペクトログラムでノイズを「見る」
De-click GUI 全パラメーター解説
ヴァイナル用 完全操作手順
盤質別・用途別 推奨設定一覧
レコード以外への応用設定
プロの現場で使われる実践 Tips
よくある疑問 Q&A
🎵
Section 01
なぜヴァイナル(レコード)はプチプチ鳴るのか
レコードを近年では「ビニール(Vinyl)」と呼ぶことが増えてきました。
素材そのものポリ塩化ビニルからきた呼び名です。
このヴァイナルをデジタル化すると必ずと言っていいほど現れるのが、プチプチノイズ(Clicks & Pops)です。
🔍
プチプチノイズの正体
レコード盤面の微細な傷・埃・静電気がスタイラス(針)に引っかかることで生じる極めて短時間の急激な振幅の不連続点です。
波形上では鋭い縦のスパイクとして、スペクトログラム上では全周波数帯にまたがる明るい縦縞として視覚化されます。
この「短時間・広帯域・高振幅の不連続点」こそが De-click の得意とする除去対象です。
同種のノイズはレコード以外にも存在します。
ボーカル録音時のリップ・マウスノイズ、USB起因のデジタルクリック、ギターや機材のポットのガリノイズ、カセットテープの磁性体剥離によるドロップアウトなど、すべて「振幅の急激な不連続」という共通の性質を持ちます。
iZotope RX10 の De-click はこれらすべてに対応できる汎用ツールです。
🚀
Section 02
Sound Forge 18 Pro から RX10 を起動する
RX10 を使う方法は主に2通りあります。
スタンドアロン(単体アプリ)として起動する方法と、Sound Forge 内のプラグインとして呼び出す方法です。
プチプチノイズ除去には、操作の自由度が高いスタンドアロン起動が推奨です。
- 1 処理前に必ずオリジナルファイルをバックアップする RX10 の処理は波形を書き換えるデストラクティブ処理です。
作業開始前に必ずオリジナルファイルを別名で保存してください。
RX10 のアンドゥ(Ctrl+Z)はファイルを閉じると消えます。
⚠️ この手順は絶対に省略しないこと オリジナルの複製なしに処理すると、設定を誤った際に取り返しがつきません。
録音フォルダ内に「_original」フォルダを作り、元ファイルをコピーしてから作業を開始する習慣をつけてください。 - 2 RX10 スタンドアロンを起動してファイルを読み込む スタートメニューまたは Launchpad から 「iZotope RX 10 Audio Editor」 を起動します。
起動後、以下のいずれかの方法でファイルを読み込みます。
ファイルを開く方法(3通り) メニューバーからFile → OpenCtrl+O / Cmd+O ドラッグ&ドロップ画面中央にファイルをドロップ 対応フォーマットWAV / AIFF / FLAC / MP3 / AAC 他 - 3 または Sound Forge から直接プラグインとして呼び出す Sound Forge 18 Pro のメニューから エフェクト → プラグイン → iZotope RX De-click を選択するとプラグインウィンドウが立ち上がります。
リアルタイムプレビューが可能ですが、設定の精度はスタンドアロン版の方が優れています。
👁️
Section 03
RX10 の画面構成とスペクトログラムでノイズを「見る」
RX10 の最大の強みは、音を視覚的に確認しながら編集できるスペクトログラム表示です。
まず画面全体の構成を把握しましょう。
🔎
クリックノイズのスペクトログラム上での見え方
スペクトログラム上では全周波数帯にまたがる明るい黄白色の縦縞として現れます。
波形表示では周囲より突出した鋭い縦スパイクとして視認できます。
Ctrl/Cmd + マウスホイールで時間軸を拡大すると、個々のクリックが確認しやすくなります。
スペクトログラムと波形を重ねる透明度スライダー(画面右端の縦スライダー)を中間値にすると両方を同時に確認できます。
ツールバーの主要な選択ツール
💡
Instant Process(稲妻ツール)の特殊な動作
選択範囲が4000サンプル未満の場合、Instant Process は自動的に Interpolate(補間)アルゴリズムを使用します。
4000サンプル以上の選択では De-click モジュールの現在の設定が適用されます。
スペクトログラム上で目視できる単一のクリックを選択してワンクリック除去する際に非常に便利です。
🎛️
Section 04
De-click GUI の全パラメーター完全解説
右ペインのモジュールリスト(Repair グループ)から 「De-click」 をクリックするとパネルが展開されます。
上から順に、プリセットドロップダウン → Algorithm → Sensitivity → Frequency Skew → Click Widening → Output Clicks Only → Preview / Render という構成になっています。
仕組みと条件は 音声のノイズ除去と音割れ修復について にまとめています。
① プリセットドロップダウン(パネル最上部)
パネル上部のドロップダウンメニューをクリックすると用途別のプリセット一覧が表示されます。
ヴァイナル用は最下部の 「Vinyl Record」 が用意されています。
ただしプリセットはあくまで出発点であり、盤の状態に応じた微調整が必要です。
② Algorithm(アルゴリズム)ドロップダウン
処理エンジンの種類を選択する最も重要な設定です。
ノイズの性質によって最適なアルゴリズムが異なります。
ヴァイナル 第一選択
Multi-band (Random Clicks)
マルチバンド処理でヴァイナルの広帯域クリック・サンプに対応。
ブラスや歌声など周期的な音楽成分を保護するアルゴリズムを内蔵。
レコードデジタル化の標準選択肢。
周期的ノイズ向け
Multi-band (Periodic Clicks)
規則正しく繰り返すクリックや、光学フィルムのパーフォレーションノイズなど周期性のあるノイズに特化。
デジタルクリック向け
Single Band
最もシンプルで処理が速い。
非常に細いデジタルパルスに有効。
Frequency Skew は使用不可。
ヴァイナルには不向きな場合も。
リアルタイム処理向け
Low Latency
プラグインとしてのリアルタイム処理に最適化。
ライブ録音モニタリング時のマウスノイズ除去に使用。
処理精度はやや劣る。
③ Sensitivity(感度)スライダー
クリック検出の閾値を設定するスライダーです。
値が高いほど多くのノイズを検出しますが、ドラムのアタック・ピアノの打鍵・弦楽器のピチカートといった正規の音楽信号も誤検出するリスクが高まります。
数値フィールドをダブルクリックすると直接数値入力も可能です。
Sensitivity スライダーの読み方
ヴァイナル 推奨スタート
3.5 〜 4.0
0(最小)
10(最大)
音楽信号への影響を最小化しながらノイズを除去できる安全なレンジ。
プリセット初期値の 5.0 から必ず下げること。
マウス・リップノイズ
5.0 〜 7.0
0(最小)
10(最大)
音声ノイズは積極的に除去できる。
ただし子音・歯擦音との区別を Output Clicks Only で必ず確認。
危険ゾーン(音楽信号を削るリスク)
8.0 以上
0(最小)
10(最大)
音楽信号の重要な成分を誤検出・除去するリスクが急増。
通常は使用しない領域。
④ Frequency Skew(周波数スキュー)スライダー
除去処理の周波数的な重心を調整するスライダーです。
マイナス値(左)にすると低域〜中域のノイズ(ヴァイナルのサンプや埃クリック)を優先し、プラス値(右)にすると中域〜高域のノイズ(マウスクリック・静電気・デジタルクリック)を狙います。
Single Band アルゴリズム選択時はこのパラメーターは使用できません。
Frequency Skew の使い分け
ヴァイナルのプチプチ・サンプ(低域〜中域)
−3.0 〜 0
−10(低域重視)
+10(高域重視)
負の値で低域〜中域クリックを優先除去。
ベースやキックへの影響を Output Clicks Only で必ず確認。
マウス・リップノイズ(中域)
0 〜 +3
−10(低域重視)
+10(高域重視)
中域の口腔内クリックを狙う。
0 を起点に試しながら最適値を探す。
静電気・高域デジタルクリック
+2 〜 +5
−10(低域重視)
+10(高域重視)
高域に集中するノイズはプラス値に。
シンバルや弦楽器の倍音との誤検出に注意。
⑤ Click Widening(クリック拡張)スライダー
検出したクリック周辺の補間領域を時間方向に拡張するパラメーターです。
リップノイズや唇の鳴りには「鳴り始め+余韻」があるためこのパラメーターが効果的です。
ヴァイナルのプチプチノイズには通常 0(ゼロ)を推奨します。
値を上げすぎると本来の音楽信号まで削り始めます。
⑥ Output Clicks Only(クリックのみ出力)チェックボックス
これは De-click 使用時の最重要モニタリング機能です。
このチェックボックスをオンにすると、「処理前の音」と「処理後の音」の差分つまりDe-click が除去しようとしている成分だけを再生して聴くことができます。
✅
Output Clicks Only の正しい使い方
Render(処理確定)の前に必ずこのチェックをオンにして Preview 再生してください。
聴こえてくる音が「プチプチノイズだけ」であればOKです。
もしピアノの打鍵・ドラムのアタック・歌声など音楽的な音が混じっていたら Sensitivity を下げて再確認してください。
確認が終わったら必ずチェックをオフに戻してから Render します。
オンのまま Render すると「除去した音だけを書き出したファイル」が生成されてしまいます。
⑦ Preview・Render・Compare ボタン(パネル最下部)
💿
Section 05
ヴァイナル用 ステップバイステップ完全操作手順
RX10 のGUI画面を開きながら、実際のボタン名・スライダー名に従って順番に操作してください。
🔧 PHASE 1:ファイルの準備と事前確認
- 1 RX10 にファイルを読み込み、スペクトログラムを確認する ファイルをドラッグ&ドロップで読み込みます。
Ctrl/Cmd + マウスホイールで時間軸を拡大し、全周波数にまたがる明るい縦縞(クリックノイズ)を確認します。
右端の透明度スライダーを中間にして波形と重ねて表示すると視認しやすくなります。 - 2 (推奨)先に De-hum でハムノイズを除去する 右パネルの Repair グループから 「De-hum」 を開きます。
電源由来の 50/60Hz ハムが残っている場合はここで先に除去します。
ハムがある状態で De-click をかけると低域処理が干渉することがあります。
💡 De-hum の最短手順 音楽前のリードイン部分(針を落とした直後の無音〜溝の音)を時間選択ツール(T)で選択 → De-hum パネルで 「Analyze」ボタンをクリック → 検出された基本周波数を確認 → 「Render」で除去。
🎛️ PHASE 2:De-click モジュールの設定
- 3 右パネルの Repair グループから「De-click」をクリックして開く モジュールリストの Repair グループ内にある 「De-click」 をクリックしてパネルを展開します。
- 4 プリセットドロップダウンから「Vinyl Record」を選択する パネル最上部のドロップダウン(デフォルトは「Default」と表示)をクリックし、リスト最下部の 「Vinyl Record」 を選択します。
Vinyl Record プリセット 初期値 AlgorithmMulti-band (Random Clicks) Sensitivity5.0→ 次のステップで 3.5〜4.0 に下げる Frequency Skew0 Click Widening0 - 5 Algorithm が「Multi-band (Random Clicks)」になっていることを確認する プリセット選択後、Algorithm ドロップダウンが 「Multi-band (Random Clicks)」 になっていることを確認します。
なっていない場合は手動で切り替えてください。 - 6 Sensitivity スライダーを 3.5〜4.0 に下げる Sensitivity スライダーをドラッグして 3.5〜4.0 の範囲に設定します(プリセット初期値 5.0 から下げます)。
スライダー右の数値フィールドをダブルクリックすれば直接入力も可能です。 - 7 Frequency Skew はまず 0 のままにする 最初は Frequency Skew = 0 で試します。
低域のサンプ(ドン)が多い場合は −2〜−3 へ、静電気の高域クリックが多い場合は +1〜+2 へ後で調整します。 - 8 Click Widening は 0 のままにする ヴァイナルのプチプチノイズには Click Widening = 0 が推奨です。
このパラメーターはリップノイズや余韻のあるノイズ専用と考えてください。
👂 PHASE 3:Output Clicks Only でテスト確認(最重要)
- 9 時間選択ツール(T)でテスト範囲を選択する 全体処理の前に、ノイズが多い箇所の数十秒を 時間選択ツール(T) でドラッグ選択します。
小さな範囲でテストして設定値を検証してから全体処理に進むのが鉄則です。 - 10 「Output Clicks Only」チェックボックスをオンにする De-click パネル内の 「Output Clicks Only」チェックボックスをオンにします。
- 11 「Preview」ボタンをクリックして試聴する パネル下部の 「Preview」ボタン(またはスペースバー)で再生します。
聴こえてくる音がプチプチノイズだけであればOKです。
音楽的な音が混じっていたら Sensitivity を 0.5 下げて再確認します。
⚠️ 音楽成分が聴こえたときの対処 ピアノの打鍵・ドラムのアタック・歌声などが Output に混じっている場合は、Sensitivity スライダーを 0.5〜1.0 ずつ下げて再度 Preview してください。
感度を下げすぎるとノイズが残りますが、音楽信号を守ることを最優先にします。 - 12 「Output Clicks Only」チェックを必ずオフに戻す 確認が終わったら チェックをオフに戻します。
オンのまま Render すると「除去した音だけを書き出したファイル」になってしまいます。
これは初心者が最もよくやるミスです。
⚙️ PHASE 4:全体処理の実行と書き出し
- 13 Ctrl+A でファイル全体を選択する テスト確認が完了したら Ctrl+A(Mac: Cmd+A) でファイル全体を選択します。
- 14 「Render」ボタンをクリックして処理を確定する パネル下部の 「Render」ボタンをクリックします。
処理が完了すると波形が更新されます。
Ctrl+Z でいつでもアンドゥ可能です(ファイルを閉じるまで)。 - 15 (任意)2パス目:Frequency Skew を調整して再処理する 1パス目でまだノイズが残る場合は、Frequency Skew を −3 程度に設定し、Sensitivity を 2.5〜3.0 に下げた状態で2回目の Render を行います。
複数パス・低感度アプローチが音質を守りながら最大の除去効果を得る方法です。
2パス目 推奨設定 Sensitivity2.5 〜 3.01パス目より低感度に Frequency Skew−2.5 〜 −3.0低域クリックを狙い打ち Click Widening0 - 16 頑固なクリックは Spectral Repair の Replace で個別対処する De-click で取り切れない大きなクリックは、スペクトログラム上で選択し、右パネルの 「Spectral Repair」→「Replace」タブ → Render で周辺の音から補間して塗り潰します。
- 17 File → Save(または Export)で書き出す すべての処理が完了したら書き出します。
推奨書き出しフォーマット アーカイブ用(原盤保存)WAV 24bit / 96kHz 配布・ストリーミングFLAC 24bit / 96kHz 圧縮配布用MP3 320kbps CBR
📊
Section 06
盤質別・用途別 推奨設定一覧
以下はすべて Algorithm: Multi-band (Random Clicks)、Click Widening: 0 を前提とした設定です。
まず「標準」から始め、Output Clicks Only で確認しながら調整してください。
🎙️
Section 07
レコード以外のプチプチノイズへの応用設定
De-click はヴァイナル専用ではありません。
Algorithm と Frequency Skew の組み合わせを変えることで、録音現場で起こるあらゆるクリック系ノイズに対応できます。
💎
Section 08
プロの現場で使われる実践 Tips
- 全体処理の前に必ずテスト区間で設定を確認する。
LP 1枚全体に Render する前に、問題が多い数十秒を選択してテスト処理し、設定値が適切かを確かめてから全体処理に進むこと。
これだけで取り返しのつかないミスの9割を防げる。 - 「Output Clicks Only」を絶対に省略しない。
除去対象の音が本当にノイズだけなのかを耳で確認してから Render することが、不可逆的な音質劣化を防ぐ唯一の方法。
慣れてきても省略しないこと。 - 600Hz 以下の処理はベース・キックへの影響が出やすい。
低域サンプを狙う際(Freq.Skew −4〜−5)は、Output Clicks Only で低域楽器の音が混じっていないかを特に注意深く確認する。 - Instant Process ツール(I キー)で個別クリックを素早く除去する。
スペクトログラム上で目視できるクリックを選択して I キーを押すだけで即時処理。
4000サンプル未満の選択は自動的に Interpolate が適用される。 - 頑固なクリックは Spectral Repair の Replace を使う。
De-click で取り切れない大振幅クリックは、Spectral Repair モジュールの Replace タブで周辺の音を補間して塗り潰す。
特に大きなサンプ(ドン)に効果的。 - 複数パス・低感度アプローチが最も安全。
1回の高感度処理より、感度を低めに設定した複数パス処理の方が音楽信号への影響が少ない。
2〜3回に分けて Frequency Skew を変えながら処理するのがプロの定石。 - Render 後は必ず Compare(A/B)ボタンで処理前後を比較する。
特に静かな間奏部分や弱音で不自然なアーティファクト(音の薄れ・うねり)がないかを確認する。 - De-crackle は最後の手段として位置づける。
サーフェスノイズ全般を削減する De-crackle は効果が強すぎて音楽信号の質感を損なうことがある。
まず De-click のみで仕上げてみて、それでも不満なら Spectral De-noise → 最後に De-crackle の順番を守ること。
❓
Section 09
よくある疑問 Q&A
De-click だけでプチプチは完全に消えますか?
多くの場合は1〜2パスでほぼ除去できますが、非常に深いキズや盤反りに起因する大振幅クリックは完全除去が難しいこともあります。
De-click で取り切れないものは Spectral Repair → Replace で視覚的に個別対処するのが現実的です。
Sound Forge 18 Pro バンドルの RX10 はどのバージョン相当ですか?
Sound Forge 18 Pro Suite に含まれる RX10 は Elements または Standard 相当のバンドルが多く、De-click・De-hum・Spectral De-noise などの主要モジュールは使用可能です。
Spectral Repair の Replace モードや De-crackle を使いたい場合は Standard 以上が必要な場合があります。
ご自身のバンドル内容をご確認ください。
プリセット「Vinyl Record」を選べばそのまま使えますか?
プリセットは「Multi-band (Random) / Sensitivity 5.0 / Freq.Skew 0 / Click Widening 0」の標準設定です。
出発点としては優秀ですが、Sensitivity 5.0 は音楽によっては高すぎる場合があります。
必ず Output Clicks Only でチェックし、感度を 3.5〜4.0 に下げることを推奨します。
処理後に音がこもったり薄くなった気がします。
どうすればいいですか?
Sensitivity が高すぎた可能性が高いです。
Ctrl+Z でアンドゥし、Sensitivity を 0.5〜1.0 下げて再処理してください。
それでも改善しない場合は、処理前後を Compare ボタンで細かく比較し、どの帯域で変化が起きているかを確認します。
特定の周波数帯のみ影響が出ている場合は Frequency Skew の調整も試みてください。
Output Clicks Only をオンにしたまま Render してしまいました。
どうすればいいですか?
すぐに Ctrl+Z(Mac: Cmd+Z)でアンドゥしてください。
RX10 のアンドゥはファイルを閉じるまで有効です。
もしファイルを閉じてしまった場合は、作業前にバックアップしたオリジナルファイルから再度やり直してください。
これがバックアップが必須である理由です。
まとめ:ヴァイナルの「音の粒」を守りながらノイズを消す
iZotope RX10 の De-click は、ヴァイナルのプチプチノイズから宅録のデジタルクリック、ボーカルのリップノイズまで、あらゆる「短時間インパルスノイズ」に対応できる強力なツールです。
しかし強力であるがゆえに、設定を誤ると音楽信号そのものを削ってしまうリスクがあります。
最も重要な習慣は「Output Clicks Only で必ず確認してから Render する」ことです。
この一手間だけで、取り返しのつかない音質劣化の大半を防ぐことができます。
ヴァイナルへの推奨スタート設定は Multi-band (Random Clicks) / Sensitivity 3.5〜4.0 / Frequency Skew 0 / Click Widening 0。
そこから盤の状態に応じて微調整し、2パス目以降で残ったノイズを狙い打ちするこの「低感度・複数パス」アプローチが音質を守りながら最大の除去効果を得られる方法です。
長年積み上げてきたアナログコレクションが、プチプチノイズから解放されて本来の音で輝きを取り戻すことを願っています。
本記事は Sound Forge 18 Pro / iZotope RX10 を使用したスタジオ現場の情報に基づくガイドです。
ソフトウェアのバージョンアップにより UI や機能が変更される場合があります。
最新情報は iZotope 公式ドキュメントをご参照ください。
🔬 Deep Analysis / Studio Problem Solving
録音現場のプチプチノイズを完全解剖
RME × BandLab Sonar × USB SSD 環境での
原因究明・根治・再発防止の完全ガイド
「DSD録音には一切ノイズがなかった。
でも同時録音のPCMトラックだけにプチプチノイズが入った」このたった一つの事実が、ノイズの原因を90%絞り込む決定的な手がかりになります。
本記事では考えられるすべての原因を体系的に分解し、環境別の修正手順と再発防止策を完全ガイドします。
🖥 Windows 10
🎛 RME オーディオI/F
🎼 BandLab Sonar
💾 外付け2TB SSD(USB 3.0)
🎹 ピアノ録音(DSD同時収録)
📋 この記事の構成
決定的証拠の分析:DSD vs PCM
プチノイズが起こる原因9分類
【最有力】クロック不整合の仕組み
USB 3.0 SSD が引き起こす問題
修正手順①:RME クロック設定
修正手順②:Windows 10 最適化
修正手順③:Sonar バッファ設定
修正手順④:USB 環境の分離
修正手順⑤:RX10 De-click で後処理
再発防止策:完全チェックリスト
🔬
Section 01
決定的証拠の分析:「DSDにはなかった」が語る真実
今回のケースで最も重要な手がかりは「ピアノのDSDトラックにはノイズがなく、同時録音したPCM(Sonar/WAV)トラックにだけノイズが入った」という事実です。
これは単なる観察ではなく、原因を大幅に絞り込む臨床的証拠です。
🧬 DSD vs PCM 比較診断マトリクス
DSDにノイズがなかった事実が否定するもの
マイクや楽器・プリアンプのアナログ系ノイズ。
DSDもアナログ信号を通るため、アナログ起因なら両方に入るはず。
→ アナログ起因を除外
DSDにノイズがなかった事実が示唆するもの
ノイズの発生は
PCMデジタル変換・転送プロセスの中
DSDの録音方式と PCM の根本的な違い
DSD は RME のハードウェアが自己完結で直接書き出す。
PCMは
Windows → ASIO ドライバ → Sonar → USB SSD
チェーンの中に不整合点
クロック不整合説の根拠
DSD録音はRMEのネイティブクロックのみで完結するのに対し、PCM録音は Windows のソフトウェアクロック・DAWのタイムライン・ASIOバッファが複合的に絡む。
いずれかのクロック源がズレると、サンプルの「取りこぼし・重複」が起き、プチノイズとして現れる。
💡
論理的な結論
「DSDにはノイズがない」= アナログ経路・マイク・楽器は無実。
問題はデジタル転送チェーンの中にある。
最有力はクロック不整合(サンプルレートのミスマッチ)、次点はUSB帯域競合またはバッファアンダーラン。
以下でこれらを順番に解剖します。
🚨
Section 02
録音現場でプチプチノイズが起こる原因9分類
DAW録音中のプチプチノイズ(クリック&ポップ)は、複数の独立した原因が存在し、それらが複合して発生することも少なくありません。
今回の環境(Windows 10 + RME + Sonar + USB 3.0 SSD)で起こりうる原因をすべて列挙し、発生確率と今回の証拠との整合性で優先度付けしました。
★★★ 最有力
① クロック不整合(サンプルレートのミスマッチ)
RME・Windows・Sonar・外部機器の間でクロック源が統一されていない。
異なるクロック源が混在すると、サンプルの取りこぼし・重複が発生しプチノイズになる。
DSDにノイズがなかったことと完全に整合。
★★★ 最有力
② USB 3.0 の EMI 干渉
USB 3.0規格は5Gbpsの高速信号を扱うため強力な電磁ノイズ(EMI)を放射する。
USB 2.0で接続するRMEのオーディオデータ転送がこのEMIに干渉を受け、データ欠落が起きる。
USB 3.0 SSDとオーディオI/Fを同じバスに共存させると特に顕著。
★★★ 最有力
③ バッファアンダーラン(DPC レイテンシ)
Windows 10のドライバ・GPU・NIC・USB3.0コントローラが割り込み(DPC)を発生させ、CPUがオーディオバッファへのデータ供給を一時的に止める。
バッファが枯渇した瞬間、サンプルが欠落してプチノイズになる。
★★ 中程度
④ USB 選択的サスペンド(電源管理)
Windows 10の省電力機能がUSBデバイスを一時的に停止させる。
RMEまたはSSDが数ミリ秒間切断状態になり、その瞬間の録音データが消える。
★★ 中程度
⑤ USB 帯域の競合
RME(USB 2.0)と2TB SSD(USB 3.0)が同一の USB ホストコントローラを共有していると、SSDへの大容量書き込みがRMEのオーディオデータ転送を圧迫し、タイムアウトを引き起こす。
★★ 中程度
⑥ SSD の書き込み速度の一時的低下(ガベコレ)
外付けSSDはNANDフラッシュのガベージコレクション(不要データ整理)を実行する際、書き込み速度が数百ミリ秒間急激に低下する。
その間に録音バッファが溢れ、データが欠落することがある。
★ 低
⑦ Sonar のバッファ設定不足
Record I/O Buffer Size が小さすぎる場合、CPUに余裕がない瞬間にバッファが枯渇してノイズになる。
ただしこれ単独では今回のように「DSDのみ無音」の説明がつかない。
★ 低
⑧ Windows Audio サービスとの競合
Windows の共有モードオーディオサービスが ASIO ドライバと競合し、サンプルレートの自動変換(SRC)が発生すると品質劣化とプチノイズが起きる。
★ 低
⑨ ファームウェア・ドライバの非互換
RME のドライバが古い、または Windows Update 後に非互換になった場合に突然ノイズが発生することがある。
特にアップデート直後のケースで疑うべき原因。
⏱️
Section 03
【最有力原因】クロック不整合の仕組みを完全解説
デジタルオーディオにおける「クロック」とは、1秒間に何回サンプルを取るか(サンプリングレート)を刻む心臓部です。
録音システム全体がこの「心拍」を共有していなければ、サンプルの取りこぼし・重複が発生し、プチプチノイズとして耳に届きます。
🎓
クロック不整合が起こるメカニズム(簡単な例)
44.1kHzで録音している場合、システムは1秒間にちょうど44,100個のサンプルを書き出さなければなりません。
RME側が44,100Hzで刻んでいても、Windows側のサンプルレートが微妙にズレた48,000Hzで動いていると、約1秒ごとに3,900個分のサンプルが「余る or 足りない」状態になります。
この不整合を補完しようとした瞬間に、振幅の急激な不連続点(=プチノイズ)が発生します。
今回の環境で考えられるクロック競合ポイント
⚠️
RME の AutoSync モードには落とし穴がある
RME の AutoSync は「有効なデジタル入力信号があればそれをクロック源にする」賢い機能です。
しかし、外部デジタル入力(ADAT・SPDIF・Word Clock)が不安定だったり、DSD録音機器が独自クロックを発している場合、RMEがクロック源を自動的に切り替える際に数十ミリ秒の「揺らぎ」が発生し、これがプチノイズになります。
今回のDSD同時録音環境では、DSD機器からの信号がRMEのAutoSyncを誤作動させた可能性が非常に高い。
🔌
Section 04
USB 3.0 外付けSSDが引き起こす「見えない干渉」
「外付け2TB SSD(USB 3.0)でレコーディング」この構成は一見理にかなっているように見えますが、オーディオ録音においては複数の深刻なリスクを内包しています。
⚡
USB 3.0 の電磁ノイズ(EMI)問題
USB 3.0 は 5Gbps という高速データ転送のために、強力な高周波信号を使用します。
このため、近くにある USB 2.0 デバイス(RME オーディオI/F など)のデータラインに電磁誘導による干渉(EMI)が発生します。
特にUSBケーブルが絡んでいたり、同じ USB ハブを共有している場合、RMEへのクロック信号・オーディオデータが乱されてプチノイズが発生します。
この問題は USB 3.0 の登場初期から業界内で知られており、「USB 3.0 ポートには RME を接続するな」とする音響エンジニアも存在します。
🎛️
Section 05 修正手順①
RME クロック設定を「Internal Master」に固定する
最優先で行うべき修正です。
RMEのクロック設定を誤ると、すべての後続の設定が無意味になります。
RME公式マニュアルも「AutoSync中に問題が起きたら Clock Source を Internal に切り替えよ」と明示しています。
- 1 RME Settings ダイアログを開く Windows タスクバーの通知領域(右下)にある「炎のアイコン(RME Fireface Settings)」をダブルクリックして Settings ダイアログを開きます。
- 2 Clock Source を「Internal」に設定する Settings ダイアログ内の 「Clock Mode」セクション → 「Clock Source」ドロップダウン を開き、「Internal」を選択します。
これにより RME が完全なクロックマスターとなり、AutoSync による外部信号への切り替えが起きなくなります。
RME Settings ダイアログ Clock Mode セクション Clock SourceInternal ← ここを必ず設定 Current(表示)Internal と表示されればOK Input Status外部入力が Lock / No Lock どちらでも関係なし Sample Rateプロジェクトに合わせ 44100 または 48000 Hz - 3 SyncCheck で「Sync」表示を確認する Settings ダイアログの Input Status 欄に表示される SyncCheck インジケーターを確認します。
「Sync」と緑表示されていれば、すべてのデジタル信号がクロック同期した状態です。
「Lockのみ(Syncでない)」の状態は非同期状態を示すためNGです。
⚠️ Lock ≠ Sync:この違いが核心 RME の SyncCheck において「Lock」は「有効な信号を受信している」だけを意味し、同期しているとは限りません。
「Sync」表示のみがクロック同期の証明です。
RME公式マニュアルも「Sync を確認せよ」と強調しています。 - 4 バッファサイズを最適値に設定する 同じ RME Settings ダイアログ内の 「Buffer Size」 スライダーで適切な値に設定します。
Buffer Size 推奨値(録音時) 録音専用セッション256 〜 512 samples安定性重視 録音+モニタリング128 〜 256 samplesレイテンシ重視 ノイズが出る場合512 〜 1024 samplesまず安定させる
🪟
Section 06 修正手順②
Windows 10 をオーディオ録音専用環境に最適化する
Windows 10 はデフォルト設定が「一般ユーザー向け」であり、プロオーディオ録音には不向きな設定が多数あります。
以下を順番に処置します。
- 1 電源プランを「高パフォーマンス」に設定する コントロールパネル → ハードウェアとサウンド → 電源オプション → 「高パフォーマンス」を選択。
これにより CPU・USB コントローラの省電力状態への移行が停止します。
電源オプション → 詳細設定 USB 設定 → USB セレクティブサスペンド無効 プロセッサの電源管理 → 最小状態100% プロセッサの電源管理 → 最大状態100% PCI Express → リンク状態の電源管理オフ - 2 Windows サウンド設定でRMEのサンプルレートを固定する コントロールパネル → サウンド → 再生タブ → RME を右クリック → プロパティ → 詳細タブで 「既定の形式」をプロジェクトと同じサンプルレート(例:44100 Hz / 24 ビット)に固定します。
⚠️ Windows の「排他モード」を有効にする 同じプロパティ画面の「排他モード」欄の「アプリケーションによるこのデバイスの排他的制御を許可する」にチェックを入れてください。
これにより Sonar(ASIO)が Windows の共有オーディオシステムを完全に迂回して直接デバイスを制御でき、不要なサンプルレート変換が排除されます。 - 3 DPC レイテンシを LatencyMon で診断する 無料ツール 「LatencyMon」(Resplendence Software)をダウンロード・実行します。
録音中に 1000μs(1ms)を超えるスパイクが表示された場合、DPC レイテンシが高すぎて録音に支障が出ています。
LatencyMon で確認すべき項目 Highest DPC Routine1000μs 以下が目標 問題ドライバの例nvlddmkm.sys(GPU)、usbxhci.sys(USB 3.0) usbxhci.sys が高い場合→ USB 3.0 コントローラのドライバ更新 or 無効化 - 4 不要なバックグラウンドサービスを停止する 録音中に動作するウイルス対策ソフト・Windows Update・OneDrive・各種クラウド同期サービスが CPU・ディスク・ネットワークを突発的に使用し、DPC レイテンシのスパイクを引き起こします。
録音セッション中は可能な限り停止してください。
録音中に停止推奨のサービス Windows Update録音前に一時停止(最大35日) OneDrive / Dropboxタスクトレイから一時停止 ウイルス対策ソフト録音フォルダを除外設定 または 一時停止 GPU ドライバ通知GeForce Experience 等の常駐を停止
🎼
Section 07 修正手順③
BandLab Sonar のバッファ・ASIO 設定を最適化する
Sonar(Cakewalk by BandLab)の公式ヘルプドキュメントには、ドロップアウトとノイズの対処法として具体的なバッファ設定が明記されています。
以下の手順で設定を確認・修正してください。
- 1 Edit → Preferences → Audio → Driver Settings を開く Sonar メニューバーから Edit → Preferences(または Ctrl+,)→ Audio → Driver Settings を開きます。
- 2 ASIO ドライバ選択と ASIO Panel の確認 Driver Mode が 「ASIO」 になっていることを確認します。
WDM/MME になっている場合は ASIO に変更してください。
WDM モードは余分なカーネルミキサーを経由するため必ずノイズが増えます。
次に 「ASIO Panel」ボタンをクリックして RME の設定パネルを開き、前述のクロック設定を再確認します。
Sonar → Audio → Driver Settings Driver ModeASIO(必須) Default Audio DriverASIO Fireface USB ASIO Panel ボタン→ RME Settings 起動 → Clock Source: Internal 確認 - 3 Edit → Preferences → Audio → Sync and Caching でバッファを増やす Preferences → Audio → Sync and Caching を開き、以下の値を設定します。
Sonar 公式ドキュメントでは「256を起点に倍増単位で上げていくことを推奨」と明記されています。
Sonar → Audio → Sync and Caching Playback I/O Buffer Size512 〜 1024 samplesノイズがある間は大きく Record I/O Buffer Size512 〜 1024 samples録音安定性を優先 Enable Read Cachingチェックしない(OFF推奨) Enable Write Cachingチェックしない(OFF推奨) - 4 プロジェクトのサンプルレートを確認・統一する Edit → Project → Audio Settings(またはプロジェクト設定)で Sample Rate を確認し、RME Settings のサンプルレートと完全に一致させます。
異なっていると Sonar が内部で無音サンプルレート変換を行い、ノイズの温床になります。
一致確認チェック Sonar プロジェクト設定44100 Hz(または 48000 Hz) RME Settings → Sample Rate同上(完全一致) Windows サウンド → 既定の形式同上(完全一致)
🔌
Section 08 修正手順④
USB 環境を「オーディオ」と「ストレージ」に物理分離する
これは設定変更ではなく物理的な配線の変更です。
手間はかかりますが、最も確実にUSB干渉問題を解決できます。
- 1 RME と外付けSSD を別々の USB ホストコントローラに接続する デバイスマネージャー(Win+X → デバイスマネージャー)で 「ユニバーサル シリアル バス コントローラー」 を確認し、PCに複数の USB ホストコントローラがある場合は、RME は USB 2.0 ポートに、SSD は USB 3.0 ポートに振り分けます。
異なるコントローラに接続することで帯域競合と EMI 干渉が大幅に低減します。 - 2 録音先を内蔵SSD/HDD に変更する(推奨) 最も根本的な解決策は、録音先ドライブを外付けSSDから内蔵ドライブ(内蔵SSDまたは7200rpm HDD)に変更することです。
内蔵ドライブはUSBバスを使用しないため、EMI干渉・帯域競合の両方を完全に排除できます。
録音完了後にバックアップとして外付けSSDに移動するワークフローが最も安全です。
✅ 推奨ドライブ配置 OS:内蔵SSD(Cドライブ) / 録音先:内蔵SSD または HDD(Dドライブ等) / バックアップ・アーカイブ:外付け2TB SSD(録音後に転送) - 3 USB ケーブルの品質と長さを見直す RME 用の USB ケーブルはフェライトコア付きの高品質ケーブル(1.5m 以下)を使用します。
長いケーブルや粗悪なケーブルは高周波ノイズを拾いやすく、RMEへのクロック信号を乱します。
RMEの標準付属ケーブルまたはRME推奨ケーブルの使用を推奨します。
🔧
Section 09 修正手順⑤
既存の録音ファイルは RX10 De-click で後処理修復する
上記の修正は「今後の録音」を守るための対策です。
すでにノイズが入ってしまった録音ファイルは、iZotope RX10 の De-click で後処理して修復します。
デジタルクロック起因のプチノイズは非常に鋭いインパルス状のため、De-click が最も効果的に対処できるノイズタイプです。
🎹
ピアノ録音への De-click 適用時の注意点
ピアノの打鍵音は De-click が誤検出しやすい音の一つです。
必ずOutput Clicks Only をオンにして試聴し、「プチノイズのみ」が出力されているかを確認してください。
もしピアノの打鍵音が含まれていたら Sensitivity を 0.5 下げて再確認します。
Spectral Repair の Replace と組み合わせて個別処理するのも効果的です。
🛡️
Section 10
再発防止策:録音前の完全チェックリスト
一度ノイズ環境を根治できたら、次は再発させないための仕組みを作ることが重要です。
以下の対策を「録音前ルーティン」として習慣化してください。
🎛 クロック管理
セッション開始前に RME Clock Source: Internal を確認
毎回の録音開始前に RME Settings ダイアログを開き、Clock Source が Internal になっていることを確認する。
AutoSync に戻っていることがある。
🪟 Windows 設定
電源プランが「高パフォーマンス」であることを確認
Windows Update 後や再起動後に電源プランが「バランス」に戻ることがある。
タスクバーの電源アイコンで毎回確認する。
💾 ストレージ
録音先を内蔵ドライブに設定する
Sonar のオーディオデータ保存先(Edit→Preferences→File Storage)が内蔵SSD/HDDになっていることを確認。
外付けUSBは「バックアップ用」と役割を明確に分離。
🔌 USB 配線
RME と外付けSSD が別ポート/別コントローラか確認
PC の USB ポートを抜き差しした後は接続先が変わることがある。
デバイスマネージャーで RME が USB 2.0 コントローラ配下に存在するか確認する。
🎼 Sonar 設定
プロジェクト開始時にサンプルレートを3点確認
① Sonar プロジェクト設定、② RME Settings のサンプルレート、③ Windows サウンドの既定の形式この3箇所が完全一致していることを必ず確認する。
🤫 バックグラウンド
録音直前にバックグラウンドアプリを停止
OneDrive・Dropbox・ウイルス対策ソフトのスキャン・Windows Update を録音セッション中は停止または一時中断。
ルーティン化して忘れを防ぐ。
🧪 テスト録音
本番前に30秒のテスト録音でノイズ確認
毎回の録音セッション開始時に30秒のテスト録音を行い、波形をズームして確認する。
問題があれば早期発見できる。
🔄 定期メンテナンス
RME ドライバと Sonar を最新版に保つ
RME の公式サイトで定期的にドライバの更新を確認。
Sonar も BandLab アプリ経由で定期アップデートを適用。
古いドライバは Windows Update との非互換を引き起こすことがある。
🗺️
トラブルシューティングのフローチャート(要約)
① ノイズが入った → DSD トラックを確認(DSD に無ければデジタルチェーンが原因)→ ② RME Clock Source を Internal に固定 → ③ Sonar を ASIO モードにしサンプルレートを3点統一 → ④ LatencyMon で DPC スパイク確認・Windows 最適化 → ⑤ 録音先を内蔵ドライブに変更・RME を USB 2.0 ポートに専用接続 → ⑥ それでも残るノイズは RX10 De-click で後処理
まとめ:「DSDが無音だった」が示した真実と根治の道筋
今回のノイズ問題の最有力原因はクロック不整合(RMEのAutoSync による外部クロック混入)とUSB 3.0 SSDとRMEの帯域競合・EMI干渉の複合です。
DSD録音にノイズがなかったという事実が、アナログ経路やマイクは無実であることを証明し、問題をデジタル転送チェーンに絞り込みました。
修正の優先順位は、①RMEクロックを Internal に固定 → ②Sonar を ASIO / サンプルレート統一 → ③Windows 電源・USB省電力を無効化 → ④録音先を内蔵ドライブに変更の順です。
この4ステップだけで大多数のケースが解決します。
すでに入ってしまったノイズは RX10 De-click(Single Band / Sensitivity 5〜6 / Freq.Skew 0〜+2)で後処理可能です。
ただし根本対策なしでは必ず再発するため、再発防止チェックリストを録音前のルーティンとして習慣化することを強く推奨します。
本記事は Windows 10 + RME オーディオインターフェイス + BandLab Sonar + USB 3.0 外付けSSD 環境における録音ノイズのトラブルシューティングガイドです。
ソフトウェアのバージョンや個々の PC 環境によって症状・解決策が異なる場合があります。


