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「インピーダンスが合っていない」と書かれた記事を読んで、そこで手が止まった方も多いと思います。
その言葉は、いったん忘れてかまいません。
ホワイトノイズは、確かめる順番さえ間違えなければ、道具を買い足さずに消せることが多い音です。
この記事では、原因を切り分ける順番を、私が現場で使っている通りに書きます。
確かめる順番を、先に決めておく
やみくもに設定を触ると、何が効いたのか分からなくなります。
順番はこうです。
- 入力ゲインのつまみが、どこまで回っているかを見る
- マイクケーブルの種類を見る
- USB の規格を合わせる
- 部屋の中で鳴っているものを止める
- ソフトの中で音に触っている処理を切る
上から順に試してください。
1 と 2 でほとんどが解決します。
仕組みと条件は 音声のノイズ除去と音割れ修復について にまとめています。
ゲインのつまみが「3時」より右にありませんか
機材を触る前に、確かめてほしいことがあります。
オーディオインターフェイスやミキサーの入力ゲイン。
そのつまみは、いまどこを指していますか。
3時より右、あるいは最大の位置まで回っているなら、ノイズの原因はほぼそこです。
なぜ回すとノイズが出るのか
マイクが送り出す電気信号は、とても小さいものです。
その小さな信号を、機材の中のマイクプリアンプが増幅して使える大きさにします。
増幅するとき、信号と一緒に、回路そのものが持っている微かな電気の揺らぎも大きくなります。
これが「サー」の正体です。
つまみを大きく回すほど、この揺らぎも同じだけ大きくなります。
ダイナミックマイクを使っていませんか
ここが、最も多い行き止まりです。
ダイナミックマイクは、ドラムの打音や、至近距離の歌声のような大きな音を録るために作られています。
そのぶん感度が低く、普通の部屋での話し声を拾おうとすると、ゲインを目一杯まで回すことになります。
安価なマイクプリアンプを全開で使えば、回路の揺らぎが持ち上がります。
これは設定の失敗ではなく、組み合わせの問題です。
解決は「ゲインを上げなくてよいマイク」に替えること
感度の高いマイクに替えると、同じ音量を得るのにゲインを半分以下しか回さなくて済みます。
回さなければ、揺らぎも持ち上がりません。
ノイズは、うそのように減ります。
コンデンサーマイクが向いているのはこの点です。
私は市販のマイクをひと通り試したうえで、自分が使いたいマイクを自分で作りました。
必要な空気感は残し、電気の揺らぎを持ち込まない回路にしています。
プラグインパワーのレコーダーに挿すだけで使える P-86S と、ファンタム電源で使う X-86S の二種類があります。
ケーブルの先が「棒」になっていませんか
マイクをオーディオインターフェイスに繋いでいるケーブル。
その先端を見てください。
金属の棒が一本、途中に黒い輪が一本だけ入っているなら、それはアンバランスのケーブルです。
アンバランスのケーブルは、周囲の電波や電源のノイズをそのまま拾います。
マイクを繋ぐなら、XLR のバランスケーブルに替えてください。
バランスのケーブルは、途中で拾ったノイズを打ち消す仕組みを持っています。
これだけで消えることがあります。
ケーブルで音は変わります
安価なケーブルは、余計な加工がされていないぶん素直に鳴ります。
予備として何本か持っておくと、現場で困りません。
そのうえで、音質にこだわるなら MOGAMI 2549 を選んでください。
コネクタは NEUTRIK のものが使われている個体を選びます。
ケーブルによる音の違いは、聴き比べた音源つきで別の記事にまとめています。
USB の規格を合わせる
USB で直接つなぐマイクを使っている場合です。
マイク側が USB 2.0 のものを 3.0 のポートに挿していると、ノイズが出ることがあります。
パソコン側のポートがどの規格なのかも確かめてください。
規格を合わせるだけで消えることが、意外にあります。
部屋の中で鳴っているものを止める
マイクを替えてもまだ気になるなら、音源は機材の中ではなく部屋の中です。
デスクトップのパソコンは、水冷でない限りファンが回り続けています。
冷蔵庫は、古い個体ほど鳴ります。
近くにあると、はっきり乗ってきます。
エアコンも同じです。
一度、止められるものを全部止めて録ってみてください。
ホールやスタジオでは、遠慮せずに頼んでよい
現場では、録音の間だけ空調を止めてもらうことがあります。
何度も入り切りをお願いすることも、珍しくありません。
音を整えることと、演奏者が快適に過ごすことを両立させるための、当たり前の相談です。
ここで嫌な顔をされる場所は、別のところでも問題が起きることがあります。
パソコンから離れて録る
パソコンのファンから逃げる方法もあります。
ファンのないレコーダーを使えば、そもそも回っているものがありません。
用途別のレコーダーの選び方は、別の記事にまとめています。
ソフトの中で、音に触っている処理を切る
配信ソフトの「ノイズ抑制」を入れているのに、かえって「サー」が目立つことがあります。
順番の問題です。
ノイズ抑制より前にコンプレッサーが入っていると、コンプレッサーが小さな音を持ち上げます。
そのとき、ノイズも一緒に持ち上がります。
DAW でも同じことが起きます。
テンプレートから開いたプロジェクトには、最初からイコライザーやコンプレッサーが挿さっていることがあります。
低域や中域が大きく持ち上がる設定になっていれば、そこにノイズも乗ります。
いったん全部切って、素の音を聴いてください。
適切に録れていれば、処理は要りません
マイクの選び方と立て方が合っていれば、声の収録でコンプレッサーやイコライザーが必要になることはほとんどありません。
ソフト側を切って直ったなら、配信ソフトの中の処理も同じように切ってください。
番外 マイクを挿す場所は合っていますか
相談を受けた中に、モノラルで録るのに右の入力へ挿していた方がいました。
チャンネルの多い機材が安く手に入るようになったぶん、起こりやすくなっています。
複数の入力がある機材では、左から順に埋めていってください。
これを習慣にしておくと、後から見返したときに迷いません。

