目次
カーアンプの箱には、大きな数字が印刷されています。
最大出力 1000 ワット。
1500 ワット。
その数字は、選ぶときに見なくてかまいません。
むしろ、その数字しか書かれていない製品は、候補から外してよいくらいです。
最大出力と定格出力
二つの数字があります。
意味がまったく違います。
最大出力は、瞬間的に出せる上限です。
これ以上で鳴らすと壊れる、という注意書きに近いものです。
測り方の決まりも緩いので、比べる物差しになりません。
定格出力は、連続して出し続けられる出力です。
実際に音楽を鳴らしているあいだ働くのは、こちらの数字です。
現場では、こういう言い方をされます。
最大出力 1000 ワットと書かれた安価な製品と、定格出力 80 ワットと書かれた高価な製品。
数字だけを見ると前者が強そうに見えますが、選ぶべきは後者です。
だから、商品を見るときはまず定格出力を探してください。
見つからず、最大出力しか書かれていない製品は、その時点で外して差し支えありません。
定格出力は、一つの数字ではありません
定格出力の欄には、複数の値が並びます。
読み方を覚えると、選択肢が広がります。
たとえば、こういう書き方です。
インピーダンスが低いほど電流が流れやすくなるので、取り出せる出力は増えます。
そのぶん機器への負担も増えます。
対応しているインピーダンスの下限は、必ず確認してください。
束ねる接続は、前を鳴らしていた 4 つの出口のうち 2 つを低音の担当に回す、といった使い方ができます。
あとからサブウーファーを足すとき、機器を買い足さずに済むことがあります。
スピーカーとの組み合わせ
どれくらいの出力を選べばよいのか。
目安があります。
一つの出口の定格出力が、つなぐスピーカーの定格入力の 1.2 倍から 1.5 倍になるように選ぶ、という考え方です。
余裕を持たせる理由は、音楽には山があるからです。
平均では小さくても、瞬間的に大きな電力を要求されます。
そこで足りなくなると、波形の頭が潰れます。
潰れた波形は歪みになり、その歪みが高い音を担当するスピーカーを傷めます。
出力が足りないほうがスピーカーに優しい、というのは誤解です。
足りないまま音量を上げるほうが、危険です。
増幅の方式
商品の表示に、クラス D、クラス AB といった記載があります。
増幅の仕方の違いです。
クラス D は、効率が高く、発熱と消費電流が小さく、小型に作れます。
いまのカーオーディオでは主流です。
座席の下など、熱がこもりやすい場所にも収めやすいという利点があります。
クラス AB は、効率では劣り、発熱も大きくなりますが、この方式の音を好む人がいます。
どちらが上という話ではありません。
ただし車では、置き場所と発熱と電流の制約が現実的に効くので、クラス D を選ぶ理由のほうが多くなります。
ここからが本題です。
電源とヒューズ
音の話より先に、こちらを読んでください。
取り付けで事故につながるのは、ほぼここです。
増幅の機器は、それなりの電流を使います。
だからバッテリーから直接、太い線を引くことになります。
そしてその線には、必ずヒューズを入れます。
ヒューズの役目は、機器を守ることではありません。
線を守ることです。
短絡や異常が起きたとき、線が耐えられる電流を超える前に切れて、線が過熱するのを防ぎます。
だからルールは一つです。
もう一つ、取り付け位置です。
ヒューズはバッテリーの端子のすぐ近く、三十センチ以内に入れてください。
ヒューズより手前の区間は保護されないので、その区間を短くするためです。
線の太さは、機器の定格出力から決めます。
ただし実際には、鳴らす音量と、つなぐスピーカーの定格でも変わります。
定格 1000 ワットの機器でも、つなぐのが定格 200 ワットのサブウーファー一本で、線が短いなら、細めの構成で足りることがあります。
心配なら太いほうを選んでください。
太すぎて困ることはありません。
なお、処理だけを行う機器は消費電流が小さく、数アンペアで足ります。
ただし増幅を内蔵した機器には、電源を入れた瞬間に十から二十アンペア程度が流れるものがあります。
この突入も考えてヒューズを選びます。
電気で走る車では、そもそも 12 ボルト側に供給できる電力に上限があります。
この事情は 電気自動車で音楽を聴く に書きました。
買う順番
まず、何を鳴らすかを決めます。
前の二本だけか、前と低音の担当か、前を上下に分けるのか。
ここで必要な出口の数が決まります。
次に、つなぐスピーカーの定格入力を確かめ、その 1.2 倍から 1.5 倍を目安に定格出力を選びます。
最大出力は見ません。
そのうえで、置き場所を決めます。
座席の下に入るか、荷室に置くか。
寸法と発熱で、方式と大きさが絞られます。
最後に、電源の線とヒューズを、機器と同時に用意します。
ここを後回しにすると、機器だけ届いて取り付けられない、という状態になります。
何を買うか
よくある質問
まとめ
最大出力の数字は見なくてかまいません。
定格出力を、つなぐスピーカーの定格入力の 1.2 倍から 1.5 倍を目安に選びます。
方式は、車という場所では効率と発熱で決まることが多く、クラス D が扱いやすい選択になります。
そして電源です。
ヒューズは線を守るための部品なので、その容量が線の許容電流を上回る組み合わせを作らないでください。
機器と同時に、線とヒューズを用意してください。
上位に何があるかは カーオーディオのハイエンドには、何があるのか に、スピーカー側の選び方は カースピーカーの選び方 に書きました。



