空音開発Kuon R&D
音響工学 · 2026.08.22

回転数に連動しますか。カーオーディオの雑音の切り分け方

部品を買う前に切り分けます。いつから出ているのか、エンジンの回転に連動するのか。この二つで原因の大半が絞れます。電源線と信号線を離す、アースを長さと太さと場所の順で直す。フィルターは最後です。

目次

音楽を止めているのに、スピーカーから何かが聞こえる。
あるいは音楽に混ざって、音楽ではない音がついてくる。

車の雑音対策は、部品を買うところから始めがちです。
順番が逆です。
先に切り分ければ、買うべきものが決まり、たいていの場合は買わずに済みます。

最初に聞くのは、いつからか

雑音が出るようになった時期を思い出してください。
ここで話が二つに分かれます。

機器を替えた直後、あるいは何かを取り付けた直後から出ているなら、原因は配線か相性です。
もともとの車には無かった経路ができたということです。

以前は聞こえなかったのに、だんだん出るようになったなら、話が違います。
この場合は配線ではなく、部品が弱ってきていることが多いと言われます。
発電機やバッテリーの劣化も含みます。
同じ対策をしても効きません。

回転数に連動しますか

これが、いちばん強い判断材料です。

エンジンの回転を上げると、雑音の高さや大きさが一緒に変わる。
アクセルを踏むと「ヒューン」が速くなる。
そうであれば、発電機から来ている可能性が高いです。

逆に、回転を上げても変わらないなら、発電機ではありません。
別のところを探します。

症状から当たりをつける
症状疑うところ
回転を上げると音の高さが変わる発電機
回転に合わせて弾けるような音が入る(主にラジオ)点火の系統
ある装置を動かしたときだけ出るその装置の電源かアース
ラジオのときだけ出る受信の問題。オーディオではない
どの音源でも同じように出る配線かアース、または機器そのもの
音量を絞っても消えない信号ではなく電源側から入っている

一つ、簡単な確認があります。
ラジオでだけ出るのか、音楽を再生しているときにも出るのか。
ラジオでだけなら、それは受信の話であって、オーディオの配線の話ではありません。
走る場所によって変わるかどうかも同じ判断に使えます。

電源の線と、信号の線を離す

配線が原因のとき、いちばん多いのがこれです。

電源の線には、そこそこの電流が流れます。
電流が流れる線のまわりには磁界ができます。
その隣に、耳に届く前の小さな信号の線が並んで走っていれば、磁界が信号に乗ります。

対策は単純です。
二本を離すこと。
同じ束にまとめて通してあるなら、まずそこを解きます。
電源が助手席側を通っているなら、信号は運転席側を通す。
それだけで消えることがあります。

アースの直し方には、順番があります

もう一つの大きな原因が、アースです。

車では、電気の戻り道を車体の鉄板が兼ねています。
機器ごとに違う場所へ落とすと、その二点のあいだに電位の差が生まれ、輪ができます。
この輪に信号が乗ると、低い唸りになります。

直す順番はこうです。

まず、アースの線の長さを見ます。
長ければ、短く済む場所へ移します。

次に、太さです。
長さを変えられないなら、線を一段階か二段階太いものにします。

そして、落としている場所そのものです。
しっかり鉄に届いているかを確かめます。
塗装の上からねじ止めしていると、見た目はつながっていても電気的には不十分です。
塗装を削ってから締めます。

ここまでで直らない場合は、バッテリーのマイナス端子から車体へ行っている純正の線を、より太いものに替える手があります。
発電機の雑音であれば、発電機からバッテリーのマイナス端子、あるいはその近くの車体へ、太くて短い線を一本足す方法もあります。
どちらが効くかは、実際につないでみないと分かりません。

フィルターは、最後です

信号の線に挟む雑音対策の部品があります。
手軽なので最初に試したくなりますが、順番としては最後です。

理由は二つあります。
一つは、原因を残したまま症状だけを隠す道具だからです。
もう一つは、うまくいかないことがあるからです。
実際に、信号の線にこの種の部品を入れたところ改善せず、それまで片側だけだった雑音が両側から出るようになった、という報告があります。

原因が分かってから、それでも取り切れない分に使う。
この順番であれば役に立ちます。

なぜ車でこれが起きるのか

そもそもの話をしておきます。

家庭のオーディオは、壁のコンセントから来る交流を受け取り、機器の中で直流に変えて使います。
だから機器の内部には、交流由来の雑音を取り除くための回路が幾重にも入っています。

車は違います。
最初から最後まで直流です。
壁のコンセントは一本もつながっていません。
この点だけを見れば、車は電源環境として悪くありません。

ただし、その直流はきれいではありません。
発電機が作るのは交流で、それを整えて直流にしています。
整えたあとも波が残ります。
ならす役目はバッテリーが大きく担っていますが、弱ってくるとならす力が落ちます。
加えて、車には制御装置や多くのモーターがあり、それぞれが電気を使い、それぞれが車体をアースにしています。

つまり、雑音対策とは、この事情のどこに自分の機器がつながっているかを整理する作業です。
この前提は カーオーディオの音質を、測って確かめる にも書きました。

よくある質問

純正のままでは出なかったのに、機器を替えたら出るようになりました。

よくある話です。純正の機器は車両側と組み合わせた状態で対策されています。後から付けたものは、その前提の外にあります。まず配線の通し方とアースの取り方を見直してください。

バッテリーを新しくすれば直りますか。

バッテリーが弱っていたのなら、直ることがあります。発電機が作る波の残った直流をならす役目を、バッテリーが大きく担っているからです。ただし、新しいバッテリーに替えても変わらないなら、原因は別の場所です。

アースは一か所にまとめるべきですか、別々にすべきですか。

一般には一か所にまとめるほうが電位の差が生まれにくいとされます。ただし、まとめても出る例、別々にしても出る例の両方が報告されています。どちらか一方が正解という話ではないので、両方を試して結果で決めてください。

音量をゼロにしても聞こえます。

信号の経路ではなく、電源の経路から入っています。信号の線を抜いてみて、それでも聞こえるなら確定です。アースと電源の側を見てください。

悪路を走ったときだけ出ます。

電気の問題ではなく、接触の問題である可能性があります。振動でどこかの接点が離れかけています。端子の締まり具合と、配線の固定を確かめてください。

まとめ

順番があります。
いつから出ているのかを確かめ、回転数に連動するかを聞き、電源の線と信号の線を離し、アースを長さ、太さ、場所の順で直す。
部品を買うのは、そのあとです。

そして、時間とともに出るようになった雑音は、配線ではなく部品が弱ってきた合図であることが多い、と覚えておいてください。
この場合、配線をいくら直しても戻りません。

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測り方の手順は カーオーディオの音質を、測って確かめる にあります。

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