目次
3つの違いは一行で言えます。
ピタゴラス律は5度を美しく、純正律は和音を美しく、平均律はどの調でも同じにします。
何かを取れば、何かを捨てます。
3つとも正しく、目的が違うだけです。
音律を聴き比べると、同じ和音がどれだけ違って鳴るかが分かります。
読むより速いので、先に聴いてから戻ってきても構いません。
なぜ音律という問題が起きるのか
オクターブは周波数が 2 倍です。
5度は 3 対 2 です。
この 2 つは耳にとって特別に安定した比で、どの文化の音楽でも土台になっています。
問題は、5度を積み上げてもオクターブにぴったり戻らないことです。
5度を 12 回積むと元の音から 7 オクターブ上に来るはずですが、実際には少しだけ行き過ぎます。
この差は約 23.5 セントあり、ピタゴラスコンマと呼ばれます。
つまり、オクターブと5度の両方を完全に保つことは、数学的にできません。
どこかにずれを押し付けることになります。
そのずれをどこに置くかの答えが、音律です。
ピタゴラス律:5度を積む
完全5度をすべて 3 対 2 の正しい比で積み上げます。
5度と4度は完全に澄みます。
代わりに、長3度が 81 対 64 になり、平均律より約 8 セント高くなります。
3度を重ねると濁ります。
中世の音楽で3度が不協和とされ、5度と8度で終わる響きが好まれたのは、この音律で演奏していたためです。
弦楽器の開放弦の調弦は、いまもこの考え方です。
純正律:和音を溶かす
和音を作る音を、簡単な整数の比でそろえます。
長三和音は 4 対 5 対 6 になります。
このとき、うなりが完全に消えます。
3 つの音が 1 つの音のように聞こえます。
合唱と金管アンサンブルが到達できるあの響きは、この状態です。
代わりに、転調ができません。
ある調に合わせて比を決めると、別の調では比が崩れます。
鍵盤楽器のように音の高さを演奏中に変えられない楽器では、これが致命的になります。
平均律:どの調でも同じにする
1 オクターブを 12 等分します。
どの半音も同じ幅になり、どの調へ転調しても響きが変わりません。
代わりに、オクターブ以外のすべての音程がわずかにずれます。
5度はほぼ正しいままですが、3度は大きくずれます。
セントで見る差
1 セントは半音の 100 分の 1 です。
人が音程の違いに気づき始めるのは、およそ 5 セントから 10 セントあたりです。
見てのとおり、5度と4度はどの音律でもほぼ同じです。
差が出るのは3度と6度です。
だから、5度を合わせるのは簡単で、3度が難しいという実感は正しいのです。
「全員がチューナーで合わせたのに濁る」の正体
チューナーの目盛りは平均律です。
全員が針を真ん中にすると、長三和音の3度は純正律より 14 セント高い位置に来ます。
この 14 セントが、うなりとして聞こえます。
直し方は 1 つです。
3度を担当する人だけが、針から 14 セント低い位置を取ります。
根音と5度は動かしません。
全員が同時に動くと、合った位置が分からなくなります。
合奏でこれを練習する手順は吹奏楽の基礎合奏メニューにまとめました。
どの場面でどれを使うか
実際の演奏では、混ざります。
伸ばす和音では純正律に寄せ、動く場面では平均律に近づける。
上手な団体が無意識にやっているのはこれです。
実際に聴いて確かめる
KUON TUNERでは、平均律、純正律、ピタゴラス律を切り替えられます。
主音を指定すると、目盛りのほうがその音律の位置へ動きます。
自分の楽器で同じ和音を 3 つの音律で吹き比べると、差は数字ではなく体験になります。
14 セントがどれくらいかは、聴いたほうが速く分かります。
二人以上で同じ音を伸ばすときは、合奏の画面でうなりの回数を数えられます。
440Hz で 14 セントのずれは、毎秒およそ 3.6 回のゆれになります。
ブラウザのチューナーの仕組みはオンラインチューナーの仕組みと選び方にまとめています。
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