空音開発Kuon R&D
録音機材 · 2026.09.17

吹奏楽のチューナーおすすめ|選び方とA=442の合わせ方、純正律で濁りを消す

合奏ではクリップ式、家ではブラウザ。理由は精度ではなく仕組みです。そして全員が針を真ん中に合わせても和音は濁ります。平均律と純正律の差をセントで示し、合わせる順番までまとめました。

この記事は広告を含みます
目次

合奏でチューナーを使うなら、クリップ式を楽器に付けてください。
ブラウザやスマートフォンのチューナーは、隣の人の音まで拾うので合奏室では使えません。
理由は性能ではなく仕組みにあります。

そして、全員が針を真ん中に合わせても和音はハモりません。
これは腕の問題ではなく、平均律という目盛りの性質です。
この記事では、その理由と合わせ方をまとめます。

家での個人練習と、買う前に試したいときは、ブラウザのチューナーを開くで足ります。
基準ピッチ 442Hz、B♭管と E♭管の記譜表示、純正律の切り替えに対応しています。
登録もインストールも要りません。

クリップ式とマイク式は、拾っているものが違います

クリップ式は、楽器の管体に伝わる振動を拾います。
空気を伝わってきた音ではありません。
だから、大勢が同時に鳴らしている合奏室でも、自分の楽器の音だけを測れます。

マイク式は、空気の振動を拾います。
スマートフォンもブラウザのチューナーも、こちらです。
目の前で誰かがロングトーンを吹いていれば、その音を測ってしまいます。
合奏室で使えないのは、精度ではなく仕組みの問題です。

この違いから、使い分けが決まります。

場面向いているもの理由
合奏中・パート練習クリップ式周りが鳴っていても自分だけを測れる
家での個人練習ブラウザ・アプリ一人なので空気の音で足りる
買う前に試したいブラウザその場で鳴らして確かめられる
ホールでの音出しクリップ式響きの長い場所ではマイク式が迷う

なぜ吹奏楽は A=442Hz なのか

管楽器は、吹いているうちに管の中の空気が温まります。
温まると音の高さは上がります。
冷えた状態で 440Hz に合わせると、本番で温まったときには全体が上がりすぎます。

そこで、はじめから少し高い 442Hz を基準にしておきます。
日本の吹奏楽で 442Hz が多いのはこのためです。

合わせる前に、必ず息を入れて楽器を温めてください。
冷えたまま合わせた数値は、数分後には合っていません。

全員が針を真ん中にしても、和音が濁る理由

チューナーの目盛りは平均律です。
平均律は 1 オクターブを 12 等分した人工の目盛りで、どの調でも同じ響きになる代わりに、和音の中の音が少しずつずれています。

和音がきれいに溶けるのは、周波数が簡単な整数の比になったときです。
これを純正律といいます。
平均律の目盛りとの差は、次のとおりです。
1 セントは半音の 100 分の 1 です。

和音の中の位置平均律との差どうすればよいか
根音0 セント基準のまま
完全5度+2 セントほぼそのまま
長3度-14 セント針より低めに取る
短3度+16 セント針より高めに取る
長6度-16 セント針より低めに取る
短7度(属七の第7音)-31 セントはっきり低めに取る
短7度(短三和音の上)+18 セント少し高めに取る

つまり、長三和音でいちばん上に乗る長3度の人は、チューナーの針を真ん中にしてはいけません。
14 セント低く取ったときに、和音が溶けます。

これが「全員チューナーで合わせたのに、合奏するとハモらない」の正体です。
チューナーが壊れているのでも、誰かが下手なのでもありません。

合わせる順番

順番を変えるだけで、同じ練習時間でも結果が変わります。

  1. 楽器を温める1/5

    息を入れてから測る。冷えたままの数値は使えない

  2. 低音から合わせる2/5

    チューバ、バリトンサックス、コントラバスが土台になる

  3. 5度を重ねる3/5

    うなりが消える位置を耳で探す

  4. 3度を乗せる4/5

    ここだけは針ではなく、うなりで合わせる

  5. 全体で鳴らす5/5

    濁ったら 3度を担当している人が動く

3 度を針で合わせないことが要点です。
純正律に切り替えられるチューナーなら、主音を指定すると目盛りのほうが動くので、針を見たままでも正しい位置が分かります。

移調楽器の表示をそろえる

B♭管のクラリネットやトランペットが実音の B♭ を吹いたとき、画面に「B♭」と出るか「C」と出るかは設定で変わります。
部の中でばらばらだと、指示が通らなくなります。

楽器実音 B♭ を吹いたときの記譜音名
クラリネット・トランペット・テナーサックスB♭C
アルトサックス・バリトンサックスE♭G
フルート・オーボエ・ファゴット・トロンボーン・ユーフォニアムCB♭

部として、実音で言うのか記譜音で言うのかを先に決めてください。
決めてから、全員のチューナーの表示をそろえます。

楽器ごとに、ずれやすい場所は決まっています

どの楽器にも、構造から来る癖があります。
奏者の腕ではなく楽器の側の事情なので、知っていれば先に手が打てます。

楽器ずれやすい場所理由と対処
フルート低音域が下がり、高音域が上がる息の当てる角度で大きく動く。顔の向きではなく息の角度で調整する
オーボエ全体がリードで決まる楽器側で動かせる幅が小さい。リードの削りと差し込みで合わせる
クラリネット喉の音域が不安定指がほとんど開く音域で管の働きが変わる。息の支えを抜かない
サックス中音域の一部が高い口を締めすぎると全体が上がる。締めずに息で支える
トランペット第1と第3を使う運指が高い管の長さの足し算が合わない。抜差管を伸ばして補正する
ホルン右手の入れ方で動く倍音が密で隣を当てやすい。右手の深さを一定に保つ
トロンボーンどこでも自由に取れる位置が決まっていないぶん、合わせる責任が大きい
ユーフォニアム・チューバ低音域の一部がずれる管が長いほど誤差が積み上がる。補正の仕組みがある機種を確認する

金管の抜差管は、飾りではありません。
構造上どうしても合わない運指を、その場で直すための仕組みです。
使っていない部員がいたら、まずそこを教えてください。

木管は、楽器の温まり方が音程に強く出ます。
冷えた状態で合わせた数値は、合奏が始まると使えません。

クリップチューナーの選び方

見るところは 4 つです。

見るところ目安理由
基準ピッチの範囲440 から 443 まで動くこと442 が選べないと吹奏楽では困る
表示の速さ音を出してすぐ止まること遅いと息が続かない
クリップの保持力演奏中に落ちないこと管体に傷を付けない素材か
電池手に入りやすい型か本番前に切れたときに替えられる

針がふらつく原因は機種だけではありません。
演奏者の音そのものが揺れていることもあります。
まずブラウザのチューナーで自分の音の揺れを見てから選ぶと、どの程度の精度が要るかが分かります。

クリップチューナーをAmazonで見る

家では、ブラウザで足ります

一人で練習するときは、空気の音で測って問題ありません。
KUON TUNER なら、基準ピッチを 442Hz にし、B♭管の表示に切り替えて、そのまま使えます。
平均律、純正律、ピタゴラス音律を切り替えられるので、和音の中での正しい位置も確かめられます。

基準音を鳴らし続ける機能を使うと、うなりで合わせる練習ができます。
針を見ずに、音の揺れが消える位置を耳で覚える練習です。
合奏で効くのはこちらです。

複数人でうなりを数えるときは、合奏の画面を使うと、毎秒何回ゆれているかと、それがセントでいくつぶんのずれにあたるかがそのまま出ます。

ブラウザのチューナーの仕組みそのものはオンラインチューナーの仕組みと選び方にまとめています。

よくある質問
吹奏楽のチューナーは何 Hz に合わせればいいですか

442Hz を基準にしている団体が多くあります。ただし団体ごとに決まりがあるので、顧問か学生指揮に確認してください。合わせる前に、息を入れて楽器を温めます。冷えたまま測った数値は、演奏が始まると合っていません。

スマートフォンのアプリでは駄目ですか

家での個人練習なら問題ありません。合奏室では使えません。アプリは空気の音を拾うので、隣の人の音まで測ってしまいます。合奏で使うなら、楽器の振動を拾うクリップ式が要ります。学校でスマートフォンを使えない場合も、クリップ式になります。

全員がチューナーで合わせたのに、和音が濁ります

チューナーの目盛りが平均律だからです。和音がきれいに溶けるのは純正律のときで、長3度は平均律より 14 セント低く、短3度は 16 セント高い位置にあります。長3度を吹いている人が針を真ん中に合わせると、その和音は必ず濁ります。3度だけは針ではなく、うなりが消える位置で合わせてください。

純正律に対応したチューナーはありますか

あります。主音を指定すると、目盛りのほうが純正律の位置へ動きます。ブラウザで使えるものもあり、平均律、純正律、ピタゴラス音律を切り替えられます。合奏の前にその日の曲の調を主音に入れておくと、各自が正しい位置を確かめられます。

B♭管の表示は実音と記譜音のどちらにすべきですか

どちらでも構いませんが、部の中でそろえてください。ばらばらだと、指揮者の「B♭を合わせて」が人によって別の音になります。先に決めて、全員の設定をそろえるのが先決です。

チューナーの針がふらついて止まりません

3 つを順に確かめてください。1 つ目は息の支えです。音そのものが揺れていると針も揺れます。2 つ目は測っている場所で、クリップの位置を替えると安定することがあります。3 つ目は周りの音で、マイク式なら合奏室では止まりません。一人の部屋で測っても揺れるなら、息の問題です。

チューナーを見ながら吹けば音程は良くなりますか

良くはなりません。針は結果を映すだけで、原因は息の速さ、口の形、楽器の温度にあります。針を見て一時的に合わせても、目を離すと戻ります。順番は、まず耳で合う位置を覚え、その位置を身体が再現できるようにし、チューナーは答え合わせに使う形です。

部員全員ぶんのチューナーを用意できません

ブラウザのチューナーは人数の制限がありません。パート練習の時間だけ、各自の端末で開いて使う方法があります。合奏室では周りの音を拾うので、パートごとに部屋を分けられるときに向いています。

あわせて読みたい

チューナーで合わせた音を、そのまま録って残す方法は吹奏楽・合唱を高音質で録音するマイク配置とおすすめ機材にまとめています。

音程の数え方そのものに不安があるときは音程 数え方|度数と性質、2層で判定する手順が土台になります。

楽器ごとの合わせ方

この記事が属するシリーズ

関連記事

ジャーナルへ戻る

Google の検索で空音開発の頁を優先して表示するには、kuon-rnd.com を優先ソースに追加してください。