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調号を丸暗記しようとして挫折した人は多いでしょう。
シャープがいくつで何調か、なぜその順で増えるのか。
この記事では、五度圏というひとつの円が、それらの疑問にどう答えるのかを説明します。
五度圏とは
五度圏は、12の調を完全五度の関係で円状に並べた図です。
時計回りに進むと五度上がり、反時計回りに進むと五度下がります。
以下は右回りの並びです。
6時の位置(嬰ヘ長調、シャープ6つ)は、異名同音で変ト長調(フラット6つ)と同じです。
そこから左回りに進むとフラットが減っていきます。
どう判断し、どう使うのか
五度圏の使い方は、手順として整理するとわかりやすくなります。
まず、調号から調を特定する手順です。
楽譜の冒頭にある調号の数を数えます。
シャープなら、五度圏を右回りにその数だけ進みます。
たとえばシャープ3つなら、12時(ハ長調)から右へ3つ進んだ3時の位置、イ長調か嬰ヘ短調です。
フラットなら左回りに同じだけ進みます。
長調か短調かの区別は、曲の最初と最後の和音や旋律の動きから判断してください。
次に、近親調を見つける手順です。
五度圏の上で隣り合う調は、調号の差が一つだけです。
ハ長調を中心に据えれば、右隣のト長調(シャープ1つ)と左隣のヘ長調(フラット1つ)が最も近い関係調になります。
三つ目は、転調の道筋を読む手順です。
楽譜の途中で臨時記号が急に増えたら、その新しい音を手がかりに、五度圏の上でどの方向へ何歩動いたかを確かめます。
隣へ一歩なら穏やかな変化、遠くへ飛ぶほど劇的な転調です。
移調の作業でも、五度圏は手がかりになります。
現在の調と目的の調を五度圏で確認すれば、調号がいくつ増減するかがわかります。
実際の楽譜を移調する作業には、ブラウザで使える移調ツールも参考にしてください。
なぜ円になるのか
五度圏が円になるのは、完全五度を12回積み重ねると元の音の異名同音に戻るからです。
ハから始めて五度ずつ上がると、ハ、ト、ニ、イ、ホ、ロ、嬰ヘ、嬰ハ、嬰ト、嬰ニ、嬰イ、嬰ヘ、そして次は嬰シです。
嬰シはハ(ド)と異名同音なので、12回で一周します。
正確には、純正な五度を積み重ねるとピタゴラスコンマという僅かな差が生じますが、平均律ではその差を12等分しているため、きれいな円として扱えます。
調号が右回りで一つずつ増える仕組みも同じ理屈です。
ハ長調の第五音はトです。
ト長調を作るには、第七音(導音)を半音上げなければならず、F#が最初のシャープになります。
次にト長調の第五音はニ。
ニ長調の導音はC#で、これが二つ目のシャープです。
この繰り返しで、シャープはF、C、G、D、A、E、Bの順に増えていきます。
フラット系はこの逆です。
左回りに進むごとに、新しい調の第四音を半音下げる操作が続き、フラットはB、E、A、D、G、C、Fの順に増えます。
この順序は、シャープの順を逆から読んだものと同じです。
つまり五度圏は、調号の増減と関係調の遠近を、ひとつの円に圧縮した地図です。
丸暗記ではなく、五度の連鎖という仕組みから覚えれば、調号を見失うことはありません。
つまずきやすいところ
よくある混乱の一つは、短調の位置です。
長調の五度圏を覚えれば、各長調の第六音(短三度下)がそのまま平行短調です。
ハ長調の平行短調はイ短調、ト長調ならホ短調。
短調だけを別に覚える必要はありません。
もう一つのつまずきは、嬰ヘ長調(シャープ6つ)と変ト長調(フラット6つ)が同じ鍵盤上の音でありながら、楽譜の書き方が異なる点です。
どちらで書くかは曲の前後の流れで決まり、一概にどちらが正しいとは言えません。
また、五度圏を属調方向(右回り)と下属調方向(左回り)と呼ぶ理論書もあります。
同じ図を別の用語で説明しているだけなので、混乱しないでください。
五度圏の背景にある教会旋法の体系について知りたい方は、旋法7つ一覧、白鍵だけで覚えるモードの種類と仕組みも参考になります。
最後に、あなたのための問いを置きます。
いま練習している曲の楽譜を開いて、臨時記号が増える箇所を探してください。
その変化は五度圏の上で、何時の方向へ何歩ぶんの移動でしょうか。
作曲者がなぜその調を選んだのか、考えてみると新しい発見があるかもしれません。
楽典を楽器と合わせて習う場所の選び方は大人の音楽教室はどこがいいにまとめています。
